英国では、Brexitに伴う欧州連合(EU)との合意不調の責任を取って辞任した、テリーザ・メイ前首相に代わって、元々Brexit推進派のボリス・ジョンソン新首相が、EUとの最終交渉に臨む態勢となっている。それに先立って今週末にフランスで開催される、主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)がジョンソン首相の首脳会議デビューとなる。気象変動協定やイラン核合意等で米国対ドイツ・フランスの対立が先鋭化する中、Brexitを睨んで同首相がどういう戦略でそれぞれの首脳と相対するのか注目される。
8月21日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「ボリス・ジョンソン首相、G-7サミット各首脳から支援獲得を切望」
英国のボリス・ジョンソン新首相は、今週末からビアリッツ(フランス南西端の大西洋に面するリゾート)で開催されるG-7サミットで首脳会議デビューを飾る。
今年10月末にBrexit期限の正念場を迎える同首相にとって、G-7サミットの各首脳からどれだけの支援・協力を得られるかが重要問題である。...
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8月21日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「ボリス・ジョンソン首相、G-7サミット各首脳から支援獲得を切望」
英国のボリス・ジョンソン新首相は、今週末からビアリッツ(フランス南西端の大西洋に面するリゾート)で開催されるG-7サミットで首脳会議デビューを飾る。
今年10月末にBrexit期限の正念場を迎える同首相にとって、G-7サミットの各首脳からどれだけの支援・協力を得られるかが重要問題である。
これに先立って同首相は、8月21日にベルリンを、また、8月22日にはパリを訪問して、欧州主要国のアンゲラ・メルケル首相及びエマニュエル・マクロン大統領をそれぞれ表敬訪問し、Brexitに関わる協力要請を試みる意向である。
一方、同首相としては、昨年来気候変動条約(パリ協定)やイラン核合意離脱問題でEU両首脳と対立している、ドナルド・トランプ大統領とも関係強化を図る必要がある。
何故なら、Brexit後に可及的速やかに対応すべき各関係国との二国間貿易協定に関し、米国との交渉促進が最優先課題となるからである。
ただ、トランプ大統領からすれば、ジョンソン首相は英国のトランプと揶揄されているように、メイ前首相よりは関係構築が容易とみている節がある。
具体的には、両首脳は既に少なくとも4度電話会談をしていて、直近でも8月19日に協議しており、EU嫌いなトランプ大統領にとって、従来からBrexitを強力に推進してきたジョンソン首相はより身近な存在と感じているとみられる。
特に、イラン支援の考えを持つドイツ・フランス両首脳に対抗するかのように、イラン包囲網を築きたいトランプ大統領が推進する、ホルムズ海峡における有志連合に、英国が率先して参加を表明したことが大きく評価されている。
一方、ドイツ・フランス両首脳としては、BrexitでEUと対立してきたジョンション首相の政策に懐疑的ではあるが、同首相を余りに追い込んでしまうと、トランプ大統領べったりとなり、今後のパリ協定、イラン核合意を推進していく上で、むしろマイナスになることを懸念している。
なお、ジョンソン首相にとって、Brexit後を睨み、日本、カナダとの二国間貿易協定交渉も重要課題となっている。
特に日本は、今年6月に河野太郎外相が、合意なきBrexit実現の場合、リスク回避で多くの日系企業が脱英国となると警告しており、同首相としても活路を見出す必要に迫られている。
ただ、同首相は個人的には日本から好かれている模様である。というのうは、かつて訪日した際、(東日本大震災の際に原発事故に遭った)福島県で生産された桃のジュースを率先して飲むニュース映像が流され、とても評価されたからである。
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