抗議デモにより政治的な混乱が続いている香港では、この2カ月の間に、海外での居住を考える人が増加している。不動産業者などからの情報により、香港市民がマレーシアで第2の自宅となる住宅購入を加速させていることが判明した。
『ロイター通信』や地元メディアが22日までに報じた。不動産業者らは、長引く反政府運動で将来に不安を感じている一部の香港市民により、マレーシアやタイの物件の購入が増加すると予測している。ベトナムのほか物価は高いがシンガポールなども候補とされており、マレーシアでは、教育や医療、食事などが良質であるペナン島の人気が高い。
マレーシアには海外の富裕層に対し、同国での居住を勧誘する「マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)」というプログラムがある。...
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『ロイター通信』や地元メディアが22日までに報じた。不動産業者らは、長引く反政府運動で将来に不安を感じている一部の香港市民により、マレーシアやタイの物件の購入が増加すると予測している。ベトナムのほか物価は高いがシンガポールなども候補とされており、マレーシアでは、教育や医療、食事などが良質であるペナン島の人気が高い。
マレーシアには海外の富裕層に対し、同国での居住を勧誘する「マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)」というプログラムがある。同プログラムへの応募が承認された人は、更新可能な居住用の数次入国査証を与えられ、100万リンギット(約2540万円)以上の不動産物件の購入が可能となるほか、車も所有できる。但し、就業許可証がなければフルタイムで働くことはできない。
不動産物件のコンサルタントらは、政治的な混乱が続く香港市民の間で、MM2Hへの関心が高まっていると指摘する。昨年同プログラムでマレーシア国内での居住を認められた香港市民は193組で、今年は既に251組から申し込みを受け付けたという。
マレーシア観光省によって運営されている同プログラムの責任者は、「香港からの需要により、マレーシアは確かに新たな居住地として最善の選択肢の1つになるだろう。」として、「我々の強みは、わが国の親しみやすさ、生活費の安さ、(医療を含む)高い生活水準ばかりでなく、経済や政治の安定性や先進的なインフラにもある。」と述べた。
マレーシア南部で中国の不動産開発業者の碧桂園(カントリー・ガーデン)が開発する、最大70万人が住むことを想定した1000億ドル(約10兆6540億円)規模の大プロジェクト「フォレスト・シティ」では、香港市民が購入したマンションの戸数が過去2カ月でほぼ倍増したという。同地での物件販売数の増加は、香港市民が抗議デモを受けて、マレーシアで住宅購入を加速していることを明らかに示している。
フォレスト・シティの物件を手掛ける不動産業者は、香港市民はマレーシアに住みたくて住宅を購入しており、投資目的ではないと説明した。元々同地の物件に関心があったが、デモがきっかけになって購入したものだとしている。
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