『ロイター』の記事「マクロン大統領がアマゾンの火災を国際的な緊急事態だと指摘」によれば、フランスのマクロン大統領は22日、アマゾンの熱帯雨林での大規模な火災を国際的な緊急事態であるとし、フランス南西部ビアリッツで8月24日から26日に開催されるG7サミットで議論する意向を示した。同大統領はツイッターで、「アマゾンの熱帯雨林は地球の
『肺』であり、私たちの惑星の酸素の20%を生み出している。しかしこの熱帯雨林で火災が発生している。...
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『ロイター』の記事「マクロン大統領がアマゾンの火災を国際的な緊急事態だと指摘」によれば、フランスのマクロン大統領は22日、アマゾンの熱帯雨林での大規模な火災を国際的な緊急事態であるとし、フランス南西部ビアリッツで8月24日から26日に開催されるG7サミットで議論する意向を示した。同大統領はツイッターで、「アマゾンの熱帯雨林は地球の
『肺』であり、私たちの惑星の酸素の20%を生み出している。しかしこの熱帯雨林で火災が発生している。これは国際的な危機だ。G7サミット参加者の皆さん、この緊急事態について議論すべきではないでしょうか」とツイートした。
熱帯雨林での火災の深刻さは『CNN』が記事「アマゾンの火災は人為的なものと環境活動家が非難」の中で伝えている。
環境保護団体や研究者によれば、アマゾンの火災は、ブラジルの熱帯雨林で事業を行っている牧場主と伐採業者が火を放ったことによるものだという。これらの事業者は土地を焼き払って事業に利用したいと考えており、親ビジネスの姿勢を示す同国のボルソナーロ大統領がこれらの事業主を勢いづかせている、という。
非政府組織(NGO)関係者によれば「各地で発生している火災の大半は、人間が火をつけたことによるものだ」という。「乾季の時期でも、アマゾンの森林地帯は湿度が高いために簡単には火がつかない。同じように頻繁に火災が発生するカリフォルニアやオーストラリアの乾燥した低木林地とは異なる」という。さらに「農業事業者や牧場主は以前から森林を焼き払って事業に使う土地を作り出している。今アマゾンで起こっている異常な数の火災の背後にはこれらの事業者がいる可能性がある」とも指摘した。
ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、今年は昨年よりも80%多くの火災が発生しており、その半分以上がアマゾン地域で発生している、という。これは環境や生態系が大変な危機にさらされていることを意味している。そしてINPEの科学者によれば、火災件数の99%が「故意であれ偶然であれ」人間の行動によって引き起こされている、という。さらにこの科学者は、農業用地確保のための小規模なものから、商業や農業の事業プロジェクトによる新たな森林伐採、といえるものまで、様々な規模の火災が発生している、と指摘している。
アマゾンの熱帯雨林は世界の酸素の20%を供給しており、時には「地球の肺」とも称される。世界自然保護基金(WWF)によれば、もし回復不可能なほどに破壊されれば、酸素の代りに二酸化炭素を排出しはじめる、という。二酸化炭素は言うまでもなく気候変動の主要な原因だ。
ブラジルのサレス環境大臣は21日、火災は乾燥した気候、風、そして熱波が原因だ、とツイートした。しかしCNNの気象学者は、火災は「間違いなく人間が引き起こしたものだ」とし、雷による自然発火が原因だとは考えられない、と述べた。この気象学者によれば、今年の火災は、現地で定着している農業の季節的なパターンに合致している、という。「今の時期は、植物が乾燥しているために火をつける最適な時期だ。事業者は乾季が来るのを待って森を燃やしはじめ、事業に使う土地を作って事業を始める。これが現地で起こっていることではないかと考えている」と語った。乾季のピークは9月だとされる。以前と比べ今年は、火災による森林の消失が「前例を見ない規模だ」とNGO関係者は指摘する。ただ、INPEの別の研究者は、人間が行う焼き畑を止めるのは大変に難しいとCNNに語ったという。「焼き畑は熱帯地域で農地や牧草地を確保し、農業や畜産を行うための伝統的な手法だ。これを止めるのはとても難しい」という。
世界中の環境団体や活動家、そしてソーシャルメディアの利用者は、今回のアマゾンでの火災のニュースに反応して警戒感を示しており、多数のツイートが寄せられているという。火災の映像やニュースが広まるにつれ、ブラジルのボルソナーロ大統領に説明を求める声が強まっている。
ボルソナーロ大統領が大統領選に出馬した際、アマゾンの熱帯雨林の経済的な潜在力を引き出すことで経済を回復させると公約に掲げた。現在、環境活動団体などは、同大統領が、牧場主、農業事業者、伐採業者が熱帯雨林を利用するよう事実上後押ししており、罰則を受けるという意識が皆無の状態で、前例がない規模で熱帯雨林が焼き払われていると指摘している。
ある環境保護団体は先週、報告書を公表し、農業事業者が「ファイヤー・デイ」として協力して農業用の土地を確保するために森林を燃やしており、これはボルソナーロ大統領の言葉に刺激されたものだ、と指摘した。
数週間前には、INPEのトップがボルソナーロ大統領と対立した後に更迭されている。INPEのトップは、6月の森林破壊が昨年よりも88%拡大しているという衛星データを擁護していたが、同大統領はその指摘を「嘘だ」としていた。
ボルソナーロ大統領は、火災の責任が大統領にある、という批判を一蹴している。21日には、同大統領は、資金不足に苦しむNGOが「私とブラジル政府に対する否定的な注目度を高める」ために火災を起こしていると主張した。
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