インターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムは18日、米国の顧客向けに現金払いサービス「アマゾン・ペイコード(Amazaon PayCode)」を提供することを発表した。同サービスはこれまで、海外からアマゾンの商品を購入する顧客が利用していたが、米国内の顧客にもこれを展開する。
『USAトゥデイ』などの米メディアや、
『AFP通信』、技術紙などが報じた「アマゾン・ペイコード」は、金融・通信事業大手ウエスタンユニオンとの提携により、アマゾンで商品を購入した顧客が、米国内に約1万5,000店を構える同社の店舗に出向き、手数料などの追加料金なしに現金で代金の支払いを済ませることができるサービスだ。ペイコードのサービスは、既に19カ国・地域で利用されているが、米国の顧客にも拡大するという。
アマゾン決済部門の責任者ベン・ボルク氏は、「顧客は現金払いの便利さが好きだと言っている。ウエスタンユニオンとの提携で、顧客がネットで購入した商品の支払いを、自身に便利な方法ですることが可能となり、我々は顧客に購買の選択肢をさらに提供できるようになる。」と述べた。
同社はペイコードの展開に加え、「アマゾン・キャッシュ(Amazon Cash)」のサービスを拡大する。これは2017年に導入され、ドラッグストアやコンビニチェーンなどの店舗で、ネットでの購入に使用できる顧客のアカウントに現金でチャージができるサービスだ。同サービスを、ウエスタンユニオンを含む全米10万超の店舗で利用可能にする。
米国には銀行口座やクレジットカードを持たない人が数百万人いるという。世界各国でキャッシュレスでの購入や顔認証などの新技術を用いた決済方法に移行する傾向がみられるが、現金離れの動きは、銀行制度を利用しない人に悪影響をもたらすとの指摘がある。
また、現金離れは顧客のプライバシーを損ねる可能性があるとの批判も出ている。キャッシュレス決済は取引が完全に把握され、大規模な個人情報漏えい事案も発生しているため、プライバシー保護のために現金による支払いを好む人もいる。
アマゾンは、サンフランシスコ連邦準備銀行のデータに基づき、2018年に米国で行われた支払いの77%が対面でなされたものであり、そのうちの39%が現金払いであったと説明している。フィラデルフィアやサンフランシスコなど一部の都市では、店舗が現金払いを拒否することを禁止する法律の制定や検討も行われている。
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