米・印・比海軍及び海上自衛隊が今年5月初め、南シナ海で初めて共同訓練を実施した。関係国の相互理解とインド太平洋地域の平和と安定に資するためとされたが、当然のことのように、中国は同海域における同国主権を脅かすものだと非難した。そして今度は陸上自衛隊が、米・比海軍とともに、南シナ海のマニラ北西沖で10日間にわたり合同海難救助訓練を実施することになった。テロ対策及び天災に伴う海難救助が主目的とされているが、中国の反発が予想される。
10月9日付
『AP通信』:「日・米・比3ヵ国、合同海難救助訓練を実施」
日・米・フィリピン3ヵ国は10月9日、マニラ北西沖のスービック湾を皮切りに、南シナ海において合同海難救助訓練を開始した。
フィリピン海軍報道官のフェリックス・セラピオ大尉によると、約1,400人の米海兵隊員と約600人のフィリピン海軍兵が、“海の戦士の相互協力”の名の下、上陸訓練及び実弾演習を含めた合同訓練を10日間実施するという。...
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10月9日付
『AP通信』:「日・米・比3ヵ国、合同海難救助訓練を実施」
日・米・フィリピン3ヵ国は10月9日、マニラ北西沖のスービック湾を皮切りに、南シナ海において合同海難救助訓練を開始した。
フィリピン海軍報道官のフェリックス・セラピオ大尉によると、約1,400人の米海兵隊員と約600人のフィリピン海軍兵が、“海の戦士の相互協力”の名の下、上陸訓練及び実弾演習を含めた合同訓練を10日間実施するという。
在フィリピン米大使館によると、陸上自衛隊からも約100人が参加しており、水陸両用車を利用する等、天災等に伴う人道支援及び海難救助を行うとする。
これまで、米軍が同盟国の軍隊と同海域で共同訓練を実施する度に、中国が同海域における同国の主権を脅かすものだと非難しているが、米・比両軍高官は、あくまで同海域におけるテロ対策、及び天災等に伴う人道支援並びに海難救助が目的だと表明している。
なお、2016年に就任したロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、従来方針から親中政策に転じ、これまで度々、米軍の駐留や同国への関与を遠ざける発言を繰り返してきている。
しかし、中国による南シナ海における周辺国への傍若無人な対応もあって、米比訪問部隊地位協定(注後記)に基づき、米軍によるフィリピン内のイスラム過激派との戦闘等の支援も含めて、米国との相互協力の道を辿りつつある。
(注)米比訪問部隊地位協定:共同訓練や災害救助などで一時的に滞在する米軍の隊員の法的地位を定める協定。1999年5月発効。
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