米下院は15日、香港が高度の自治を維持しているかを米政府に毎年検証することを義務付ける「香港人権・民主主義法案」を可決した。中国外務省は16日、これに対し断固として抗議すると表明し、米議会の議員らに干渉しないよう要求した。
『CNN』や
『AFP通信』、
『ブルームバーグ』などのメディアが報じた。香港では今週初め、デモ隊が米総領事館まで行進し、米議会が超党派で提出していた同法案を早期に通過させるよう要求していた。下院での可決により、法案は今後上院に送られる。
同法案は、香港当局が人権や法の支配を尊重しているかを米国務省が毎年検証するよう義務付け、これにより米国法が定めた香港への貿易上の優遇措置の妥当性を判断するというものだ。尊重していないと見なされる場合には、優遇措置を停止する。同法案はまた、香港の自治の侵害や深刻な人権侵害があった際には、責任を負うべき人物を特定し、制裁や渡航制限措置などを発動することを米大統領に求めている。
法案の提出を主導した米共和党のクリス・スミス下院議員は議場で、「我々は中国国家主席と香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に、香港の権利と自治を守るという政府の約束を忠実に尊重するよう、促しているだけだ。」と述べた。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長は「上下両院の民主党・共和党議員は、香港の人々と団結する。米国が商業的利益のために中国の人権問題について声を上げなければ、我々は全ての道徳的権威を失い、世界のどの場所でも人権について語れなくなる」と強調した。
米下院は15日、「香港人権・民主主義法案」の他にも中国への圧力を強める3つの法案・決議案を可決している。その内の1つ「香港保護法案」は、催涙ガスやゴム弾といったデモ隊など群衆の行動を抑止するための軍用品を香港に輸出することを禁止した。香港警察がそれら非殺傷用の武器をデモ隊に使用できないようにすることを意図している。
中国は、香港の民主派デモを支援する各種の措置が米下院で可決されたことを受けて、強い憤りを表明した。中国外務省の耿爽報道官は声明で、「香港が直面するのは、いわゆる人権や民主主義の問題では全くなく、できるだけ早期に暴力を抑制して秩序を回復し、法の支配を維持することだ」と述べた。さらに同報道官は、米国は介入を停止すべきとして、中国は法案などに対抗するための強力な措置を取ると警告した。
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