米政府は16日、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの中米3カ国に対する経済援助を再開することを発表した。米国は6月、メキシコ経由で米国に入国する不法移民の抑止策が不十分であるとして、その後の援助を停止していたが、3カ国の対策の進展を評価し、一部を復活させることとした。
『AP通信』や
『ロイター通信』、米紙
『ワシントン・ポスト』などが報じた。トランプ大統領とポンペオ国務長官が、一部の「使途を定めた援助」について再開することを発表した。ポンペオ長官は、再開する援助プログラムも、不法移民の抑制を狙ったものであると説明している。長官は16日、大きな進展があったとして、米議会に再開を伝えた。
トランプ大統領は今年3月、3カ国による不法移民対策が不十分であるとして、6億1500万ドル(約670億円)超の経済援助の打ち切りを表明した。これを受けて米国務省は6月、既に承認されたプロジェクトなどの支出については実施するが、3カ国がさらに対策を講じなければ、新たな援助を行わないとしていた。
米政府は、難民申請を希望する移民は、米国に到達するまでに通過する第3国で申請をするよう義務付けた。トランプ政権は、移民が殺到するメキシコ国境で不法移民として拘束され、米国に難民申請をする中米からの移民の大半は経済移民であり、他国で先ず申請を行わざるを得なければ移民は母国に留まると考えている。移民の支援団体は同規則の無効を求めて提訴したが、米連邦最高裁は、訴訟の継続中、同規則は有効との判断を下した。
米政府は、米国で難民申請をした移民について、裁判所による審査中は、中米諸国が身柄を引き取ることなどを求めていたが、今般3カ国全てが、こうした事項について、米国と少なくとも部分的な合意に達した。
トランプ大統領は16日、「グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルはすべて、歴史的な難民協力協定に署名し、密入国の惨劇を終わらせようと努力している。この進展をさらに加速化させるために、米国はまもなく法執行と治安の分野に特化した援助を承認する。」とツイッターに投稿し、援助の再開を宣言した。
トランプ大統領もポンペオ国務長官も、停止されていた援助のうちのどの位が再開されるかについて明らかにしなかったが、ワシントン・ポスト紙は、事情に詳しい関係者の話として、再開される援助の金額は1億4300万ドル(約156億円)に達すると報じている。
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