米国の非営利機関である米国政策基金(NFAP)はこのほど、ノーベル賞の化学賞、物理学賞、医学生理学賞を1901年以降に受賞した米国人の35%が移民であることを明らかにした。2000年以降では、この割合は38%に上るという。
日本では、旭化成名誉フェローで名城大学教授の吉野彰氏のノーベル化学賞受賞に沸いているが、NFAPによると、米国の今年の受賞者のうち、少なくとも4人が移民出身であることが判明した。米
『CNN』や経済誌
『フォーブス』などが17日までに報じている。
今年の自然科学分野のノーベル賞では、英国出身で米ニューヨーク州立大ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム教授が化学賞を、カナダ出身でプリンストン大のジェームズ・ピーブルス教授が物理学賞を受賞した。...
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日本では、旭化成名誉フェローで名城大学教授の吉野彰氏のノーベル化学賞受賞に沸いているが、NFAPによると、米国の今年の受賞者のうち、少なくとも4人が移民出身であることが判明した。米
『CNN』や経済誌
『フォーブス』などが17日までに報じている。
今年の自然科学分野のノーベル賞では、英国出身で米ニューヨーク州立大ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム教授が化学賞を、カナダ出身でプリンストン大のジェームズ・ピーブルス教授が物理学賞を受賞した。ウィッティンガム氏は日本の吉野氏とともにリチウムイオン電池の開発に貢献した。
米国ではこれに加えて、ノーベル経済学賞を受賞したのも、移民出身の2人のマサチューセッツ工科大学の教授だった。フランス出身のエスター・デュフロ氏とインド出身のアビジット・バナジー氏である。
自然科学分野の米国人ノーベル賞受賞者について、1901~2019年の移民出身者の割合は、化学賞が35%、物理学賞が36%、医学生理学賞が34%で、合計では302人中105人の35%、2000~2019年では、化学賞が36%、物理学賞が42%、医学生理学賞が35%で、合計95人中36人の38%だった。これらの数字には、ノーベル賞受賞後に移民として米国に渡ったアルベルト・アインシュタイン博士のような科学者らは含まれていない。
NFAPは、こうした移民による業績は、米国が世界中から才能ある人物を歓迎して得られているものであると評価したが、一方で米国は、ノーベル賞受賞者だけを歓迎すべきではなく、そうした政策を取れば、極めて限定的な結果しかもたらさないとも指摘した。
米国で移民の受賞者が目立つ傾向の背景には、20世紀後半に移民法が緩和されてきたことがある。しかし、米国はトランプ政権の発足後に移民抑制策を強化しており、他の国々が留学生や外国出身の科学者やエンジニアを呼び込む政策を取っているため、NFAPはこの傾向が今後も継続するかどうかは明らかでないとしている。NFAPは、「移民は引き続き科学分野でノーベル賞を受賞し続けるだろう。しかし、米国にいて栄誉を受けることはないかも知れない。」と懸念を示した。
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