2度の墜落事故を起こした米航空機大手ボーイングの737MAX型機について、2016年に実施されたシミュレーター試験中に、同社パイロットが同型機の「失速防止システム(MCAS)」の問題を既に認識していた可能性があることが、18日に明らかになった。
『ロイター通信』『AFP通信』『ブルームバーグ』などのメディアが一斉に報じた。737MAXをめぐっては、昨年10月にインドネシアのライオン航空機が、そして今年3月にエチオピア航空機が相次いで墜落し、合計346人が死亡した。その後同型機は、世界中で運航を停止している。
737MAX型機の2度の墜落事故と米連邦航空局(FAA)が同型機に与えた認証について、米司法省や議会などによる調査が続いており、ボーイングのデニス・マレンバーグCEO(最高経営責任者)は今月29~30日、米議会上下両院の公聴会で証言するよう求められている。...
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『ロイター通信』『AFP通信』『ブルームバーグ』などのメディアが一斉に報じた。737MAXをめぐっては、昨年10月にインドネシアのライオン航空機が、そして今年3月にエチオピア航空機が相次いで墜落し、合計346人が死亡した。その後同型機は、世界中で運航を停止している。
737MAX型機の2度の墜落事故と米連邦航空局(FAA)が同型機に与えた認証について、米司法省や議会などによる調査が続いており、ボーイングのデニス・マレンバーグCEO(最高経営責任者)は今月29~30日、米議会上下両院の公聴会で証言するよう求められている。これまでの調査では、同型機のセンサーの誤情報によってMCASが不必要に作動して機首を押し下げ、パイロットが高度を維持できず墜落したとみられている。
737型機の主任技術操縦士を務めていたマーク・フォークナー氏が2016年に同僚に送ったインスタントメッセージによれば、同氏はフライトシミュレーターによるテスト飛行の際に、認証試験中のMCASが頻繁に作動してしまい、その性能は「実にひどい」、そして「自分は規制当局に対し、基本的に(無意識のうちに)嘘をついた」などと語っていた。
FAAは当時、フォークナー氏ほかボーイング関係者とのやり取りに基づき、認証手続の間に、MCASは滅多に作動せず、航空機の安全性には脅威とならないと結論付けていた。しかし今回、同社がフォークナー氏らのメッセージを数カ月前から把握していたことが明らかになり、事故前に問題を認識していたのではないかとの疑念も生じている。FAAは17日までメッセージの存在を開示しなかったことを非難し、同社に早急な説明を求めた。
これを受けてボーイング社の株は18日に急落した。737MAX型機の運行再開は、これまで度々先送りされており、運航停止によって同社が負担せざるを得ない費用は、少なくとも84億ドル(約9100億円)と見積もられている。
アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウェスト航空の3社は最近、737MAX型機の運行停止を来年1~2月まで延長することを発表したが、専門家らは今回の件でさらに遅れる可能性があると指摘した。
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