10月31日未明の火災によって首里城消失という災難に遭った沖縄県の玉城デニー知事(60歳、注後記)は、必ず復元すると沖縄県民の声を代弁した。そして同知事は、米国が中国の軍事的脅威に対抗するため、沖縄の米軍基地を中距離弾道ミサイル配備の候補地と考えているとの噂に対しても、沖縄県民の声を代弁する形で、断固反対すると米メディアのインタビューに答えている。
11月2日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「沖縄県知事、米国によるミサイル配備計画に“断固反対”と強硬に訴え」
沖縄県の玉城デニー知事は11月1日、『ブルームバーグ』のインタビューに答えて、中国の軍事的脅威に対抗するためとして、現在米軍が東アジアに配備しようとしている中距離弾道ミサイルについて、もし沖縄の米軍基地がその候補となるなら、沖縄県民を代表して“断固反対”すると語った。
同知事は昨年、安倍晋三政権が推す対立候補を破って同県知事に当選していた。
安倍政権は、米国側との協定に基づき、沖縄市内に構えられた米海兵隊の普天間基地を人口密集地帯から離れた場所(辺野古)に移転する工事を着々と進めている。
しかし、同知事は、日本駐留の米兵5万人の半分を沖縄県が抱えていること自体が不公平であるとして、普天間基地の辺野古への移転に強硬に反対し、かつ、沖縄県内の米軍基地の大幅縮小を訴えている。
更に同知事は、万が一、米軍が沖縄県の米軍基地に弾道ミサイルを配備することになれば、基地縮小どころか益々沖縄県の基地比重が増すことになると非難している。
ただ、中国本土を射程距離に収めるためには、当該中距離ミサイルの沖縄県配備が戦略的に理想と言われている。
なお、同知事の主導で今年3月に行われた県民投票で、実に70%が普天間基地の沖縄県内移設に反対との意思表示をしている。
これを踏まえて同知事は、仮に米軍が同ミサイルを沖縄配備とする計画になれば、普天間基地の件と同様に、大多数の沖縄県民が受け入れ拒否を訴えることになろうとも言及した。
一方、米国による勝手な挑発だと非難する中国政府は、米国の同盟国である豪州、日本、韓国政府が、もし国内の米軍基地への同ミサイル配備を許容することになれば、当該国に対する報復措置を取ることになろうと脅している。
(注)玉城デニー知事:元タレント。本土復帰後第8代の沖縄県知事。衆議院議員(4期)、自由党幹事長兼国会対策委員長、沖縄市議会議員などを歴任。本名は玉城康裕で、知事業務上、法的効果が必要な文書には本名を使用している。2018年9月の翁長雄志前知事死去に伴う知事選で、「故・翁長知事の遺志を受け継ぎ、辺野古に新たな基地は造らせない。普天間飛行場の閉鎖・返還を一日も早く実現するよう政府に強く要求する」と訴えて、安倍政権が推す佐喜眞淳前宜野湾市長を破って当選している。
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