オランダ政府は先週、気候変動対策や公害対策の一環で、高速道路上での最高速度を現在の時速130キロから100キロに引き下げるなどの方針を発表した。最高速度の引き下げは日中に走行する場合のみであるが、欧州諸国では最も低速の水準となる。
『AFP通信』『BBC』『CNN』など多くのメディアが報じた。オランダのマルク・ルッテ首相が本方針を13日に発表したが、来年には速やかに実施に移したい考えだ。夜間の午後7時から朝6時については、引き続き現行の最高速度130キロが適用されるという。
高速道路での最高時速100キロは、欧州でも最低水準となる。欧州各国の最高速度は、ポーランドが140キロ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリアが130キロ、スペインが120キロ、英国が約112キロ(70マイル)、ノルウェーが110キロなどで、100キロを採用するのはキプロスくらいだ。...
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『AFP通信』『BBC』『CNN』など多くのメディアが報じた。オランダのマルク・ルッテ首相が本方針を13日に発表したが、来年には速やかに実施に移したい考えだ。夜間の午後7時から朝6時については、引き続き現行の最高速度130キロが適用されるという。
高速道路での最高時速100キロは、欧州でも最低水準となる。欧州各国の最高速度は、ポーランドが140キロ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリアが130キロ、スペインが120キロ、英国が約112キロ(70マイル)、ノルウェーが110キロなどで、100キロを採用するのはキプロスくらいだ。隣国ドイツの一部の高速道路では、制限速度が全くない。
オランダの裁判所は政府に対し、温室効果ガスや公害の原因となる有害物質の排出量を削減するための緊急措置を講じるよう命じており、各種対策の実施は待ったなしの状況だ。政府は同国の2020年の排出量を1990年対比で少なくとも25%削減するよう義務付けられており、裁判所の決定を受けて、多くの大規模建設プロジェクトなどを中断している。
ルッテ首相は記者会見で「誰もこれを好きではない。」と述べ、公式フェイスブックへの投稿で、新たな制限速度の設定は不快な措置だが、雇用や建設業者らを保護するためにも必要と説明した。同国の国土の大半は海面下にあり、気候変動の影響を特に受けやすい。
オランダ政府が今回決定した方針には、窒素酸化物による大気汚染対策のほか、農業による温室効果ガス排出量の削減措置も含まれる。専門家らは、公害対策のため、車の制限速度の引き下げを求めていた。家畜の餌の変更などによる手法の転換を求められた農業従事者からは、気候変動の責任を自分たちに押しつけているとして激しい抵抗を受けていた。
欧州環境機関(EEA)の研究によれば、高速道路での最高速度を120キロから110キロに引き下げた場合、燃料の消費量を最大18%節約できるため、公害対策や省エネにつながる効果が見込める。但し、この試算には、ドライバーが制限速度を遵守し、円滑に走行するという前提条件があり、EEAは、より現実的な条件下では、節約量は2~3%程度に限られると指摘している。
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