ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は15日、電気自動車(EV)やハイブリッド車、自動運転などの次世代技術の開発のために、2024年までに600億ユーロ(約7兆2200億円)の投資を行うと発表した。当初の計画の440億ユーロから大幅に増額する。
『ロイター通信』『ブルームバーグ』『AFP通信』などの報道によれば、VWはハイブリッド化、EV技術、デジタル化などのために、年間120億ユーロ、2024年までの5年間で600億ユーロを投じる方針を決定した。当初予定の440億ユーロの投資金額を36%ほど増額し、脱化石燃料車の動きを加速化させ、競合他社を引き離したいと考えている。
同社が今後5年間に投資する総額は約1450億ユーロで、次世代技術に投じる金額の割合は、当初の30%から40%に引き上げる。最大75車種のEV、60車種のハイブリッド車を投入し、当初計画の両方合計の70車種から増やした。2029年までの10年間で、2600万台のEVを生産する予定だが、これも当初目標の2200万台から上積みした。そのうちEV用のMEBプラットフォームで2000万台を生産し、600万台については、ポルシェ、アウディによって開発された技術を用いる。ハイブリッド車は600万台生産するという。
EVはチェコのムラダーボレスラフ工場、米テネシー州のチャタヌーガ工場、中国・広東省の仏山工場の3極体制で生産する。また、ドイツのエムデン工場の設備を一新し、2022年から電動SUV(スポーツ用多目的車)を生産する計画を示すとともに、決定を先送りしているトルコ工場については、今年末までに結論を出すとした。
監査役会が同方針を承認した後、ハンスディーター・ペッチュ会長は声明で、「我々は断固として、VWグループの変化を推し進め、モビリティー(移動性)の未来に投資を集中させる。」と強調した。
VWの投資金額の大幅な増額の背景には、先進技術への移行や各国での環境規制の厳格化の流れのなかで、自動車メーカーに適切な対応を取るよう求める圧力が強まっていることがある。また、米EVメーカーのテスラが先週、ドイツに新工場を建設すると明らかにしたことが、同社が急ぎ方針を発表することにつながった。
しかしながら、世界の自動車市場全体の成長は鈍化しており、大規模な投資が難しい状況となっている。VWも中国などの主要市場での需要の低迷により、世界全体の販売予測を下方修正し、生産計画を縮小するなどしている。
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