今週初め、エスパー国防長官と魏国防部長(大臣に相当)が東南アジア国防相会議の機会を捉えて直接会談した。しかし、特に南シナ海問題では、双方がそれぞれこれまでの主張を繰り返すだけで終わった。そのためもあってか、同会談開催後まもなく、米国は戦艦2隻を続けて南シナ海の中国主張領海内を航行させ、同海域における中国の軍事拠点化を牽制した。これに対して中国側も、不測の事態を避けるため余計な挑発行為を止めるよう警告している。
11月22日付米
『ロイター通信』:「米軍艦が再び南シナ海の中国主張領海内を航行したと中国が反発」
米軍第7艦隊の報道官レアン・モムセン司令官は11月21日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、沿海域戦闘艦“ガブリエル・ギフォーズ”が11月20日に、南シナ海南沙(スプラトリー)諸島のミスチーフ礁の12海里(約22キロメーター)内を航行したことを明らかにした。
同報道官によれば、同海域の自由な権利関係や国際法に則った海及び空の航行の自由を再確認するため、“航行の自由作戦”を実施したとした。...
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11月22日付米
『ロイター通信』:「米軍艦が再び南シナ海の中国主張領海内を航行したと中国が反発」
米軍第7艦隊の報道官レアン・モムセン司令官は11月21日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、沿海域戦闘艦“ガブリエル・ギフォーズ”が11月20日に、南シナ海南沙(スプラトリー)諸島のミスチーフ礁の12海里(約22キロメーター)内を航行したことを明らかにした。
同報道官によれば、同海域の自由な権利関係や国際法に則った海及び空の航行の自由を再確認するため、“航行の自由作戦”を実施したとした。
更に同報道官は、同様の理由で駆逐艦“ウェイン・マイヤー”が11月21日に、西沙(パラセル)諸島内を航行したとも言及した。
中国国防部は11月22日、これら米軍艦の中国主権領海内航行を承知しており、領海から退去するまで追尾したと表明した。
更に、中国人民解放軍(PLA)南部戦区報道官は、米軍に対して不測の事態を避けるためにも、かかる無謀な挑発は止めるべきだとの声明を発表した。
なお、今週初め、バンコク(タイ)で開催された東南アジア国防相会議の機会を捉えて、マーク・エスパー国防長官と魏鳳和(ウェイ・フォンホー)国防部長が会談している。
ただ、エスパー長官が、中国は自国主張を強制かつ脅迫を以て押し通そうとしていると非難すれば、魏部長の方は、南シナ海で軍事力をひけらかして無用な挑発をすることを即刻止めるべきだと反論したに留まり、何ら両国間関係の改善はみられなかった。
同日付中国『チャイナ・デイリィ』:「中国領海内侵入の米軍艦に非難声明」
PLA南部戦区報道官の李華民(リー・ホァミン)上級大佐は11月22日、2隻の米軍艦が立て続けに南沙諸島及び西沙諸島の中国領海内を、中国政府の許可なく航行したとして厳重に抗議したと表明した。
同報道官はまた、米軍艦を戦闘機及び軍艦でそれぞれ追尾し、領海から即座に立ち去るよう警告したとも付言した。
米軍はこれまで何度も南シナ海において、中国主権を脅かす行為を実施しており、その度に中国側は、無用な衝突を回避するためにも挑発行為を慎むよう求めている。
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