北朝鮮は来年から、外国人向けの医療ツーリズムを手掛けるという。主に中国人観光客の利用を期待してのものと思われるが、外国人の訪問者を対象に、白内障の手術、歯科インプラント治療、腫瘍の治療などの医療行為を提供する。
『ロイター通信』などによれば、北朝鮮・朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は6日、「国際的な潮流に沿って、医療行為を含む観光業の需要の高まり」を活用することを目的として、国営会社「Treatment Tourism Exchange Corporation」を最近設立したと報じた。
同国営会社は、温泉の近くで診療所などの事業を展開する。鉱物を含んだ温泉水が、神経痛、関節炎、心臓病や皮膚病などの治療に役立つとしている。...
全部読む
『ロイター通信』などによれば、北朝鮮・朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は6日、「国際的な潮流に沿って、医療行為を含む観光業の需要の高まり」を活用することを目的として、国営会社「Treatment Tourism Exchange Corporation」を最近設立したと報じた。
同国営会社は、温泉の近くで診療所などの事業を展開する。鉱物を含んだ温泉水が、神経痛、関節炎、心臓病や皮膚病などの治療に役立つとしている。同社は、政府の協力を得て、外国人観光客向けに、国営医療機関での医療や美容のための手術の選択肢を提示し、白内障の手術、インプラント、胸部腫瘍の治療などの医療行為を実施する。また、国内外の観光客のために、温泉リゾートの様々な施設を整備していく。
民間向けの観光旅行は、北朝鮮の核・ミサイル開発計画に対する経済制裁の対象となっていない数少ない分野の1つだ。今年は35万人もの中国人観光客が北朝鮮を訪れた。1億7500万ドル(約190億円)の観光収入があったと分析するアナリストもいる。
先月、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、中部山岳地帯の平安南道・陽徳郡で完成間近の温泉リゾートを視察した。同リゾートは、金委員長が力を入れている「自立的」経済構築構想の中心を成す大規模建設プロジェクトの1つである。
韓国・ソウルにある北朝鮮大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は、北朝鮮の医療ツーリズムの推進について、同国の進歩を誇示することを狙った宣伝活動と表現したが、一部の中国人観光客へのアピールとなる可能性があるとも指摘した。梁教授は、「北朝鮮は主に自然の観光名所を勧めているが、多くの中国人が好む東洋医学の要素と組み合わせれば、稼ぎを得ることができると考えているようだ。」と述べた。
韓国の政府系医療機関が最近公表した報告書によれば、北朝鮮では基本的な医療の提供も困難な状況になっているという。同報告書は、北朝鮮の医療分野の状況について、「地元の診療所や開業医などの第一次医療提供者は、基本的な設備や物品が不足しており、医療行為と呼べるものを殆ど行えていないのが現実だ。都市部や地方の国立病院など、第二次医療機関でも、状況はさほど変わらない。」と説明している。
閉じる