英経済紙フィナンシャル・タイムズは9日、中国政府が自国の全ての官公庁や公的機関に、外国製のコンピューター機器やソフトウエアを3年以内に撤去し、国産のものに置き換えるよう命じたとの内容の記事を掲載した。
英紙
『ガーディアン』や米
『CNN』、技術紙など多くのメディアが同紙の報道内容を伝えた。米国は今年、安全保障上の懸念から、中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)などへの米企業の部品やサービスの輸出を事実上禁止した。中国は最近の米中対立の状況下で、こうした米国の措置を意識したものとみられる。
中国政府は過去にも、欧米諸国のソフトウエアの排除を命じたことがある。しかし、それは限定的あるいは一部の安全保障上の問題に起因したものだった。...
全部読む
英紙
『ガーディアン』や米
『CNN』、技術紙など多くのメディアが同紙の報道内容を伝えた。米国は今年、安全保障上の懸念から、中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)などへの米企業の部品やサービスの輸出を事実上禁止した。中国は最近の米中対立の状況下で、こうした米国の措置を意識したものとみられる。
中国政府は過去にも、欧米諸国のソフトウエアの排除を命じたことがある。しかし、それは限定的あるいは一部の安全保障上の問題に起因したものだった。5年前には基本ソフト(OS)のアンドロイドやウィンドウズからの脱却を図ったが、最終的に断念している。
フィナンシャル・タイムズは、中信建投証券(チャイナ・セキュリティーズ)が、今回の中国政府の決定により、2000~3000万台の機器の入れ替えが必要と見積もったと報じた。HP、デル、マイクロソフトなど米企業の事業が、これによって打撃を受ける恐れがある。中信建投証券によれば、同決定は中国共産党指導部が今年行ったもので、機器の入れ替えは、2020年に30%、21年に50%、22年に20%のペースで進められるという。
米中両国は過去2年近くにわたり貿易戦争を繰り広げ、IT分野の覇権を争ってきた。中国は数年後に世界の技術強国となることを目指し、国家戦略「中国製造2025(Made in China 2025)」を実施中であり、こうした貿易摩擦や政治面での最近の両国の対立が、今回のような動きを招き、米国の技術への依存からの離脱を加速化させるとの見方もある。
しかし、大規模な機器の国産への置き換えだけでも作業は十分難しい上に、さらにマイクロソフトやアップルのソフトウエアの交換は、中国のソフトウエア業界が相対的に未発達で開発に遅れを取るなかで、難航が予想される。ファーウェイが、同社製スマートフォンにグーグルのサービスが使えなくなり、困難な状況に直面しているという前例もある。
ソーシャルメディア上では、中国のパソコンメーカーのレノボ(聯想集団)が、既に政府に大量の製品を納入しており、今回の決定の恩恵を受けるとの意見もあるが、部品は米国など外国製のものが多く、懐疑的な声が多い。ネット上には、孤立した北朝鮮のようになる、中国製の機器やソフトはなお米国のものに劣るなど、批判的な書き込みが目立った。
閉じる