欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は11日、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成し、経済成長との両立を目指す新たな気候変動対策「欧州グリーンディール」の概要を発表した。
『ロイター通信』や英紙
『ガーディアン』などによれば、同対策は今月1日に就任したばかりのフォンデアライエン欧州委員長にとって、初めての大型政策となる。同委員長は、「今日が旅の始まりだ。しかし、これは欧州にとって、人類が月面に立った瞬間のようだ。」と記者団に述べ、EUが2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロの「カーボンニュートラル」を達成するための大きな一歩になると自賛した。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、欧州グリーンディールが世界的な好循環を生み、インド、中国、日本などの大規模な温室効果ガス排出国についても、温暖化対策の枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた取り組みの加速化を望んでいると期待感を示した。...
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『ロイター通信』や英紙
『ガーディアン』などによれば、同対策は今月1日に就任したばかりのフォンデアライエン欧州委員長にとって、初めての大型政策となる。同委員長は、「今日が旅の始まりだ。しかし、これは欧州にとって、人類が月面に立った瞬間のようだ。」と記者団に述べ、EUが2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロの「カーボンニュートラル」を達成するための大きな一歩になると自賛した。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、欧州グリーンディールが世界的な好循環を生み、インド、中国、日本などの大規模な温室効果ガス排出国についても、温暖化対策の枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた取り組みの加速化を望んでいると期待感を示した。
しかしながら、環境活動家らは、EUがどれだけ早期に化石燃料から脱却できるかについて、疑問を投げかけている。化石燃料に大きく依存するポーランド、チェコ、ハンガリーは、早くも同対策に反発しており、資金面での保障を求めている。
チェコのアンドレイ・バビシュ首相は、「チェコもカーボンニュートラルを望むが、原子力なしには達成できない。EUは原子力を排出量なしのエネルギー源と認識しなければならない。それに加え、カーボンニュートラルの費用は巨額になる。」とツイートした。
欧州委員会は、欧州グリーンディールに基づき、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けた新たな法案を、来年3月に提案すると約束している。また、2030年までの温室効果ガス排出量の削減について、現在の40%減から少なくとも50%減に引き上げるという、より野心的な目標を来年の半ばまでに提言する。化石燃料への依存からの脱却によって最も影響を受ける諸国を支援するため、少なくとも350億ユーロ(約4兆2800億円)規模のいわゆる「公正な移行のための基金(Just Transition Fund)」も創設する計画だ。
フォンデアライエン委員長は、欧州委員会は、化石燃料からの移行のために、1000億ユーロ(約12兆2400億円)規模の投資を募りたいと述べた。また、EU域外の国々にも同様の気候変動対策を促すために、対策が不十分な国の製品に関税を上乗せする国境炭素税の導入を進めるとも表明した。
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