ドイツの日刊経済紙ハンデルスブラット(Handelsblatt)は13日、同国では電気自動車(EV)への移行の進展により、2030年までに最大41万人の雇用が失われる可能性があると、政府諮問機関の専門家らの見解を引用して報じた。
『ロイター通信』や技術紙などが同紙の報道について伝えている。欧州最大の経済大国であるドイツでは、自動車産業は経済成長の重要なけん引役であり、同業界での雇用者数は、2018年には83万4,000人に達し、1991年以降で最高水準となった。同国の自動車業界は現在、欧州連合(EU)から温室効果ガスの排出量をさらに削減するよう圧力を受けており、EVの導入計画を加速化させている。
ハンデルスブラット紙は、政府の諮問機関「モビリティの将来の国家プラットフォーム(NPM)」の報告書の内容から、今後こうしたEVへの移行により、エンジンやトランスミッションなどのパワートレインと呼ばれる動力伝達装置の生産に関してだけでも、約8万8,000人の雇用が失われる可能性があると指摘した。...
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『ロイター通信』や技術紙などが同紙の報道について伝えている。欧州最大の経済大国であるドイツでは、自動車産業は経済成長の重要なけん引役であり、同業界での雇用者数は、2018年には83万4,000人に達し、1991年以降で最高水準となった。同国の自動車業界は現在、欧州連合(EU)から温室効果ガスの排出量をさらに削減するよう圧力を受けており、EVの導入計画を加速化させている。
ハンデルスブラット紙は、政府の諮問機関「モビリティの将来の国家プラットフォーム(NPM)」の報告書の内容から、今後こうしたEVへの移行により、エンジンやトランスミッションなどのパワートレインと呼ばれる動力伝達装置の生産に関してだけでも、約8万8,000人の雇用が失われる可能性があると指摘した。
同紙によると、NPMの報告書は、EVのモーターは、従来のガソリン車などの燃焼機関と比べると、構成する部品の数がかなり少ないと説明している。燃焼機関は少なくとも1,200の部品を必要とするのに対し、EVモーターはおよそ200で済む。また、メンテナンスもそれほど必要としないため、結果として要員のレイオフにつながるのだという。
ドイツの一部の実業家や、コンチネンタルやシェフラーなどの自動車部品メーカーは、既に予想されるEV移行の一環として、工場や投入するリソースの構造的な変更を行うと発表しており、NPMの報告書の内容はこうした動きに合致する。同報告書は、2030年までに1000万台、2035年までに1670万台のEVがドイツの公道を走行すると想定した。
ハンデルスブラット紙はさらに、NPMのヘニング・カガーマン会長の発言を引用し、自動車生産は今後さらに自動化され、現在の雇用水準を維持するだけの職を供給できなくなるだろうと報じた。
同国の主要な自動車業界団体であるドイツ自動車工業会(VDA)は先月、世界の自動車販売の減速により、2020年には雇用水準が低下すると警告した。VDA幹部は、NPMの予測について、エンジンやトランスミッションで8万人程度の雇用が失われる可能性は否定しないが、全体的には「非現実的な極端なシナリオ」に基づいていると批判した。
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