忌まわしいホロコースト(注1後記)の代名詞であるアウシュビッツ強制収容所解放75周年を記念して、エルサレム(イスラエル)で第5回「国際ホロコースト・フォーラム(WHF、注2後記)」が開催された。世界50ヵ国の指導者が一堂に会し、ナチス・ドイツが行った反ユダヤ主義に基づくユダヤ人大虐殺を非難するだけでなく、現在も取り沙汰される反ユダヤ主義の復活の懸念に対して、一致団結して対抗していくことをアピールした。
1月24日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「世界の指導者がエルサレムに集まり、ホロコーストを忘れず反ユダヤ主義反対をアピール」
世界50ヵ国の指導者が1月23日、アウシュビッツ強制収容所解放75周年を記念してエルサレムで開かれたWHFに出席し、過去のみならず現在もはびこり始めた反ユダヤ主義に徹底して対抗していくとアピールした。
米国からは、マイク・ペンス副大統領に加えて、ナンシー・ペロシ下院議長も出席した。...
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1月24日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「世界の指導者がエルサレムに集まり、ホロコーストを忘れず反ユダヤ主義反対をアピール」
世界50ヵ国の指導者が1月23日、アウシュビッツ強制収容所解放75周年を記念してエルサレムで開かれたWHFに出席し、過去のみならず現在もはびこり始めた反ユダヤ主義に徹底して対抗していくとアピールした。
米国からは、マイク・ペンス副大統領に加えて、ナンシー・ペロシ下院議長も出席した。
演説に立った同副大統領は、過去だけでなく現在も表れ始めた忌むべき反ユダヤ主義に立ち向かう必要があるとした上で、“例えばイランは、ホロコーストそのものを否定し、イスラエルを世界地図から消し去る”と標榜していると非難した。
ドナルド・トランプ大統領は出席していないが、例えば2017年白人至上主義デモ問題発生の際、反ユダヤ主義をはっきり批評しなかったと一部の支持者から非難されているものの、“ホロコーストのような悲惨な事態は決して再び起こしてはならない”とのメッセージを寄せている。
一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、“Never Againという言葉を絵空事にしてはならない”と強調した。
また、ロシア人慈善活動家でWHF財団のモッシェ・カントール理事長は記者会見で、“約80年前の世界の指導者による会議の失敗”を肝に銘じて、反ユダヤ主義に代表される排他的活動を牽制しなければならないと語った。
1938年にエビアン(フランス)で開催された、ユダヤ人難民の処遇について協議する国際会議では、何も合意されなかったことから、当時のナチス・ドイツに反ユダヤ主義に基づくユダヤ人大虐殺を許す結果となってしまっていた。
なお、今回のWHFには、英国のチャールズ皇太子、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、ドイツのフランク・ウォルター=シュタインマイヤー大統領、イスラエルのルーベン・リブリン大統領がそれぞれ出席し、演説している。
また、世界の要人擁護のため、1万1千人以上のイスラエル警護官が配備され、更に、約500人のジャーナリストがWHF会場に参集した。
同日付イスラエル『ハアレツ(直訳は“その土地”で故国イスラエルを指す)』紙:「世界の指導者がWHFで新たな反ユダヤ主義根絶をアピール」
WHFで演説したネタニヤフ首相とリブリン大統領は、関係国が、新たに反ユダヤ主義を掲げるイランに対して明確な反対を表明していないことを“懸念している”と表明した。
その上で、反ユダヤ主義に対抗していくためにイスラエルを支援してほしいと訴えた。
なお、WHFには、米国、英国、ドイツ、フランス、ロシア、ブルガリア、ルーマニア、フィンランド、ジョージア、キプロス、ボスニア・ヘルツェゴビナ等、約50ヵ国の指導者が出席したが、ほとんどが今週ダボス(スイス)で開かれた世界経済フォーラムから流れてきている。
(注1)ホロコースト:ギリシャ語で「全てを焼きつくす」という意味。現在ではナチス・ドイツ(1933-1945)によってなされた、約600万人にも及ぶユダヤ人大虐殺を指す。なお、ホロコーストの犠牲者には、ユダヤ人だけでなく、共産主義者らの政治犯、シンティ・ロマ人、エホバの証人、同性愛者なども含まれる。
(注2)WHF:再び起こらないよう、ホロコーストの忌まわしい記憶等を留めておくための国際フォーラムで、第1回は、アウシュビッツ解放60周年を記念して2005年にクラクフ(ポーランド)で開催。以降、第2回が2006年にキエフ(ウクライナ)、第3回が2010年にクラクフ、第4回が2015年にプラハ(チェコ)で開催された。
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