米政権は23日、外国人の妊婦が子どもに米国籍を取得させることを主たる目的として米国に渡航する「バースツーリズム」(出産ツアー)を抑制するため、今後はそうした外国人に対し、短期滞在用のビザ(査証)を発給しないとする新たな措置を発表した。
『AFP通信』や
『AP通信』、
『CNN』など多くのメディアの報道によれば、新たな措置を定めた改定規則の施行は24日からとされており、米国務省は22日に世界中の大使館に本件について通知した。ホワイトハウスのステファニー・グリシャム報道官は発表にあたり、「米国の市民権の高潔さは保護されねばならない。」と声明で述べた。
ホワイトハウスは、外国人が「米国で出産することによって、その子どもの自動的かつ恒久的な米国の市民権を確保するために」ビザを利用していると指摘。...
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『AFP通信』や
『AP通信』、
『CNN』など多くのメディアの報道によれば、新たな措置を定めた改定規則の施行は24日からとされており、米国務省は22日に世界中の大使館に本件について通知した。ホワイトハウスのステファニー・グリシャム報道官は発表にあたり、「米国の市民権の高潔さは保護されねばならない。」と声明で述べた。
ホワイトハウスは、外国人が「米国で出産することによって、その子どもの自動的かつ恒久的な米国の市民権を確保するために」ビザを利用していると指摘。今後、バースツーリズムで米国に入国しようとする外国人には、国務省が短期滞在用ビザ「B-1」「B-2」を発給しないと表明した。なお、国務省は23日に記者会見を行い、新規則は「ビザ免除プログラム」に参加する欧州・アジアなど39カ国には適用されないと説明している。
改定された規則の下では、領事館の係員は、全ての女性のビザ申請者に対し、妊娠しているか、妊娠する予定かなどの質問をするわけではなく、「申請者が妊娠中で、米国で出産する可能性がある若しくは計画があると考えるに足る具体的で明確な理由がある場合」にのみ質問する。国務省の当局者は、「具体的で明確な理由」としては、申請者が米国への渡航目的として、医療行為を受けることを挙げた場合などが該当するとしている。
米政権は、バースツーリズムによる米国籍取得は、「明白な移民制度の抜け穴」を狙ったものとして、取り締まりは米国の移民制度の完全性を維持するだけでなく、公共の安全や国家安全保障のためでもあると強調した。また、バースツーリズムの提供者は、貴重な病院の資源に過度な負担をかけるだけでなく、多くの犯罪行為に加担していると批判した。
厳格な移民法を提唱する保守系シンクタンク、米移民研究センターによれば、2016年半ばから17年半ばの1年間にバースツーリズムによって生まれた子どもは、約3万3,000人であるという。米国内の年間合計出生数は約380万人であるので1%弱に相当する。
合衆国憲法は、米国内で生まれたいかなる人にも自動的に米国籍を付与する出生地主義を採用している。トランプ大統領は、移民の抑制を政権の最重要政策の1つと位置付けており、出生地主義を廃止する意向を示してきた。
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