オーストラリアの大規模な森林火災で、最大の被害を受けた東部ニューサウスウェールズ州の消防当局は13日、「全ての火災を封じ込めた」と事実上の制圧宣言を行った。火災はコアラ生息地などに大きな損害を与え、同州は昨年11月に非常事態を宣言していた。
地元メディアのほか、英
『BBC』や米
『CNN』など多くのメディアが報じた。豪最大都市のシドニーを抱えるニューサウスウェールズ州の消防当局は13日、州南部でまだ若干の火災が残っているが、2カ所の大規模な火災を含め、実質全ての火災が制圧されていると説明した。復興に向けての作業も開始しているという。
消防当局はツイッターに、「ここに至るまでに消防隊員や救急サービス、地域社会による多大な努力を要した。...
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地元メディアのほか、英
『BBC』や米
『CNN』など多くのメディアが報じた。豪最大都市のシドニーを抱えるニューサウスウェールズ州の消防当局は13日、州南部でまだ若干の火災が残っているが、2カ所の大規模な火災を含め、実質全ての火災が制圧されていると説明した。復興に向けての作業も開始しているという。
消防当局はツイッターに、「ここに至るまでに消防隊員や救急サービス、地域社会による多大な努力を要した。」と投稿した。同局のロブ・ロジャーズ副長官は13日、「消防士、住民の両方にとって、大規模な被害を与えた真に壊滅的な火災の季節が終わり、現在ではニューサウスウェールズ州で全ての火災が制圧されている。」と述べた。
豪東部では先週末の嵐が豪雨や強風、高波などをもたらし、大規模な洪水も発生している。同州では一部の自治体で避難命令が出され、多くの学校が休校となっている。しかし、この大量の雨が鎮火に役立ったようだ。
オーストラリアでは毎年、夏に森林火災が発生しているが、今夏は数カ月にわたり高温と記録的に雨が少ない状態が続き、過去に前例のないほどの規模で火災が発生し、拡大した。専門家は気候変動の影響を原因に挙げている。
今夏の大規模な火災により同国では、少なくとも33人が死亡し、約3,000棟の家屋が焼失。日本の国土面積のおよそ3分の1に相当する約12万平方キロを焼失し、10億匹の野生動物が巻き添えになったとされている。火災は全ての州で発生したが、ニューサウスウェールズ州では特に被害が大きく、コアラ生息地などにも甚大な影響が出た。シドニーでは、昨年12月に大量の煙が流れ込み、大気環境が危険水準の11倍にまで悪化した。
火災は世界遺産登録地も襲い、ブルーマウンテンズ国立公園や、ニューサウスウェールズ、クイーンズランド両州にまたがるゴンドワナ多雨林群にも被害が及んだ。豪環境省は今週、危険に晒されている113種の生物リストを発表したが、内訳は、哺乳類19、鳥類13、爬虫類20、両生類17、魚類17、甲殻類22、その他無脊椎動物5となっている。
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