ロシアの上下両院は11日、プーチン大統領の5選出馬を可能とする憲法改正法案を、圧倒的多数の賛成で可決した。今後、地方議会や4月22日に実施される改憲の是非を問う全国投票などで承認されれば、改憲が成立する。
『ロイター通信』や
『AFP通信』などの報道によると、ロシア国家院(下院、定数450)では11日、3段階審議の最終審議となる第3読会で、383対0、棄権43の賛成多数により改正法案を通過させた。さらに、数時間後に連邦院(上院、定数170)でも、160対1、棄権3の賛成多数により可決された。今後、地方議会での3分の2以上の賛成による承認や、憲法裁判所の承認を経て、4月22日の全国投票(国民投票)で過半数が賛成すれば、憲法改正が実現する。
プーチン氏の出馬制限を撤廃するために、新憲法発効後にそれ以前の大統領の任期を帳消しにする条項が、10日の下院第2読会で追加された。現行憲法下では、同氏は任期制限で2024年の大統領選には出馬できないはずだったが、改憲が成立すれば、24年以降も最長で2期12年間、大統領の座を維持する可能性がある。プーチン氏も同条項を支持し、5選への意欲を示唆していた。
プーチン氏は既に20年以上権力の座にあるが、そうした長期体制が実現した場合、同国の最高権力者としての任期は、旧ソ連時代の国家指導者スターリンの29年を上回り、17~18世紀に43年間にわたって国を治めたピョートル1世(大帝)に次ぐ長さとなる。
ロシア国民の間でのプーチン氏の人気は依然として高く、安定政権を歓迎する人も多いが、一方で権力の座に留まり過ぎているとの声もある。野党指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏ら反体制派の議員やメディアは、プーチン体制永続化への懸念を強めている。
反体制派の活動家らは、権力の不当行使であるとして、抗議活動を計画している。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ロシア政府が4月10日まで参加者5,000人以上のイベントの実施を禁止したため、大規模デモなどの開催が困難となった。
改正法案は、改憲時までの大統領には2期の任期制限を適用しないとの条項のほか、大統領経験者を終身上院議員とし、不逮捕特権を与えることなどを盛り込み、大統領の権限をさらに強化する内容となっている。
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