3月18日現在、新型コロナウィルス感染拡大は世界159ヵ国に及び、感染者22万2,642人、死者9,115人と、勢いは衰えない(米ジョンズ・ホプキンス大学内研究機関集計データ)。特に、中国以外の欧州並びに米国での感染拡大が深刻である。しかし、かかる状況下、ロシアは、世界最大の国土を持ち、また、ウィルス禍に苛まれる中国及び欧州と長い国境を接しているにも拘らず、感染者は僅か147人(全体の50位)であり、かつまだ死者も出ていない。そこで、国内外の批判的メディアから、ロシアドーピング問題(注後記)よろしく、今回の新型コロナウィルス感染検査でもまやかしがあると疑念の声が上がっている。
3月18日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「プーチン大統領、新型コロナウィルス感染の脅威は横に置いて強権力拡大」
ウラジーミル・プーチン大統領は3月18日、4月22日に予定されている、自身の支配力を現行任期末の2024年より更に伸ばすことを許容することになる、憲法改正に関わる国民投票について触れた。
クリミア半島併合から6周年を記念する式典で述べたもので、同大統領は、“目下のところ、世界を震え上がらせている新型コロナウィルス感染問題は、ロシアにおいては感染抑制の成果が出ている”とした上で、“但し、国民の生命・財産を守ることが重要なので、もし感染状況が悪化するようであれば、投票日を若干延期することもあり得る”とコメントした。...
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3月18日付
『ボイス・オブ・アメリカ』:「プーチン大統領、新型コロナウィルス感染の脅威は横に置いて強権力拡大」
ウラジーミル・プーチン大統領は3月18日、4月22日に予定されている、自身の支配力を現行任期末の2024年より更に伸ばすことを許容することになる、憲法改正に関わる国民投票について触れた。
クリミア半島併合から6周年を記念する式典で述べたもので、同大統領は、“目下のところ、世界を震え上がらせている新型コロナウィルス感染問題は、ロシアにおいては感染抑制の成果が出ている”とした上で、“但し、国民の生命・財産を守ることが重要なので、もし感染状況が悪化するようであれば、投票日を若干延期することもあり得る”とコメントした。
しかし、政権批評家らは、新型コロナウィルス対策に伴う制限と、本心では国民投票を強行しようとする対応に矛盾が生じているとする。
例えば、『モスクワのこだま』ラジオ放送(1990年設立)のコメンテーターのマトベイ・ガナポルスキィ氏は、“政権は左手で国民の行動制限を敷いておいて、右手で投票所に必ず来るよう四六時中迫っている”と指摘している。
また、同大統領が、“新型コロナウィルス感染に国境はないが、これまでのところロシアはうまく制御できている“と自賛していることにも、疑問の声が上がっている。
すなわち、政府の新型コロナウィルス対策チームが3月18日、感染者は147人になっているが、死者は出ていない、と発表したことに対して、まやかしではないかとの声がある。
例えば、専門家らは、ロシアは世界最大の国土を抱え、また、ウィルス禍に苛まれている中国、欧州と国境を接しているのに、何故これ程低く抑えられているのか理屈が通らないと批評している。
巷でも、国民を動揺させないように、政府が、新型コロナウィルス感染患者をインフルエンザやただの肺炎としてしまっているのではないか、との噂が飛び交っている。
また、分子遺伝学が専門のロシア科学ウェブサイト『PCRニュース』によると、ロシアの検疫検査研究所では実証されていない検査方法で新型コロナウィルス感染の検査を行っているので、検査結果が陰性と出ても疑わしいという。
同ニュースに投稿したエレーナ・クルシェンコ及びアレクセイ・トルガシェフ両氏は、“政府発表の感染者数は感染流行状況を正しく反映していないため、本当の脅威を覆い隠してしまう”と述べている。
なお、ロシア政府は遅ればせながら、3月18日に、外国からの来訪者を5月1日まで受け入れないと発表した。
また、米国、英国、アラブ首長国連邦(UAE)の往来便を全て一時停止とした。
更に、全校を3月23日から4月12日まで閉鎖し、期間中はオンライン授業を採用するとしている。
(注)ロシアドーピング問題:ロシアが国ぐるみで競技選手のドーピングに関わってきたことが発覚し、同国選手がオリンピックや国際大会へ出場することが禁止となった問題。2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、陸上や重量挙げなど有力選手を含む100人以上が出場禁止となり、パラリンピックではロシア選手団が全面的に参加停止とされる事態に至っている。
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