米国の3月31日の感染者は18万9,633人と2位のイタリアを大きく引き離し、死者も3,899人と2位のスペインに迫る勢いである。そして悪夢のように、洋上の原子力空母乗組員にも感染が広がり、同艦々長は異例の全員下船許可を要請した。しかし、国防総省長官は、“まだ重大局面ではない”とし、かつ、“指揮命令系統”上、自身が直接許可を与えることはできないとして、艦長の要請を却下している。
3月31日付米
『AP通信』:「原子力空母艦長が、新型コロナウィルス感染拡大を理由に全乗組員の下船許可要請」
米原子力空母“セオドア・ルーズベルト”のブレット・クロージャー艦長が3月29日晩、同艦の乗組員の間で新型コロナウィルス感染拡大が深刻化していることから、全員を下船して隔離する措置について、海軍上層部宛に書面で許可申請した。
同艦は目下、グアム港に停泊しているが、約5千人の乗組員のうち、100人以上の感染が認められているとしている。...
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3月31日付米
『AP通信』:「原子力空母艦長が、新型コロナウィルス感染拡大を理由に全乗組員の下船許可要請」
米原子力空母“セオドア・ルーズベルト”のブレット・クロージャー艦長が3月29日晩、同艦の乗組員の間で新型コロナウィルス感染拡大が深刻化していることから、全員を下船して隔離する措置について、海軍上層部宛に書面で許可申請した。
同艦は目下、グアム港に停泊しているが、約5千人の乗組員のうち、100人以上の感染が認められているとしている。
同艦長は、狭い艦内に全乗組員を留めておくことは“不必要なリスク”だとした上で、“戦時下でないところで、乗組員の命を危険にさらせない”と訴えている。
米海軍上層部は3月31日、陽性反応が出ている数十人の乗組員について下船させて隔離すべく努めているとしている。
米海軍のトーマス・モドゥリィ長官代行は『CNN』のインタビューに答えて、“調整は進行中”であり、“同艦の任務遂行をはかりつつ、乗組員をグループ毎に分けて受け入れ可能な隔離施設を準備して隔離”すべく最善を尽くしているとコメントした。
国防総省によると、3月31日朝現在、米軍内の感染者は673人と、1週間前の174人から急増し、3月30日だけで新たな感染者が104人も出ているという。
同省は、3月20日以降10倍増と拡大していることから、海外駐留部隊含めて全兵員の移動を中断させて感染拡大を阻止すべく努めてきている。
なお、米軍は、中東でのイスラム過激武装勢力との戦闘よりも、最近ではアジアに原子力空母打撃軍を配備して、特に東シナ海で勢力を拡大している中国との“覇権争い”に注力してきている。
一方、4月1日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「米国防総省、空母艦長の感染拡大防止のため全乗組員の下船隔離要請を却下」
同省のマーク・エスパー長官は3月31日、米『CBSニュース』のインタビューに答えて、“感染者の船内隔離や、必要な医療品送達、更には医療従事者を派遣等、可能な限りの手は尽くしている”とした上で、“現状では、全員下船させる段階にない”とコメントした。
同長官は更に、“今現在重篤となった乗組員は皆無”とも付言した。
原子力空母“セオドア・ルーズベルト”は、南シナ海に展開して、同海域での監視航行に当たっていたが、フィリピンで乗船した乗組員のうちの3名に感染が確認されたことから、先週任務を解かれ、グアム港に停泊することになった。
同長官は、メディアインタビューの際、同艦のクロージャー艦長の申請文書はまだ手元にきていないとした上で、“指揮命令系統”に沿った手続きを理由に、同艦長の要請について直にコメントすることは控えると回答した。
一方、同空母の他、目下西海岸に停泊している、強襲揚陸艦“ボクサー”、巡洋艦“コロラド”、及びミサイル駆逐艦“ラルフ・ジョンソン”の乗組員の一部に感染者が出ている。
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