コロナウィルスの発生源や貿易をはじめとする経済問題で対立を激化させている米中であるが、古くからある台湾問題でも新たに対立を深めている。5月16日の
『環球時報』は「米国は必死に“台湾カード”を振り回しているが、今回は効果がないのはなぜか」という5000字に近い長文を掲載し、米国への反撃を行っている。
5月18日から開催されるWHOの総会に台湾をオブザーバー参加させるように米国が強く主張している。5月6日にはポンペオ国務長官が欧州諸国に台湾のオブザーバー参加を支持するようによびかけ、8日には米国の保健福祉長官が台湾の衛生福利部長に総会参加を支持すると電話をかけ、11日には米国上院が「台湾のWHOでのオブザーバー資格を回復させる法案」を通過させている。さらには日本、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダに対し、台湾支持を要請している、として非難。
中国は、WHOが国連の機関であるということを持ち出して、1971年に国連は中華人民共和国が中国の唯一の合法政府としている、ということさえ主張し、台湾にWHO総会の参加資格がないことを主張している。
さらには、同記事のなかで、(オーストラリアが、コロナウィルスの発生源に関して中国を調査すべきと主張していることに対し)オーストラリアの4社に対し、対中牛肉輸出を禁じると5月12日には通達したことも書いている。もっともこれは両国の管理部門が共同で決定したもので、決して報復ではないと中国は述べている。
中国が強力な国家となり、台湾統一ができる能力を持てるようになればなるほど、米国が「台湾カード」を振りかざし、中国に打撃を与えようとしているとして、中国はこのような米国をはじめとする西側諸国の根拠なき暴言に対し、誠実に対処していく、と述べているのである。
台湾は2003年のSARSの感染拡大を教訓に、コロナウィルスの防疫体制をしき、いち早く抑え込みに成功している。米国としてはこの実績をもとに中国寄りとされるWHOに対し、牽制球を投げ続け、中国非難を行っていることになる。もっとも16日現在、18日から開催される総会への招請状を台湾は受け取っていないことから、台湾のオブザーバー参加は実現しそうにない。
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