新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行に関し、前回5月8日報道時より、感染者は遂に大台に乗って521万3,483人(前回比+136万7,643人、+35.6%)、死者も33万8,225人(同+6万8,658人、+25.5%)となり、分母が大きくなったことから上昇カーブは緩やかになりつつあるが、絶対数増加は著しいものがある(米ジョンズ・ホプキンス大学集計の5月23日午後1時半現在データ引用)。ただ、主要国では、経済活動が死んでは救える命も救えないとして、徐々にではあるが都市封鎖解除、経済活動再開に舵を切り始めている。一方、南米やインド等での感染者急増が先行きの見通しを暗くしている。
5月22日付
『AP通信』他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
<注目ニュース>
●ブラジル;ロシアを抜いて、米国に次ぐ感染者数世界2位に躍進。
●米国;トランプ大統領、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日、注後記)の祝日を前に、教会再開を指示。
●日本;ナイトクラブのウィルス禍対策マナー、飲食以外の際はマスク着用、また、ホステスとの間に席を一人分空ける等々、と厳格。
<ブラジル>(感染者33万890人、死者2万1,048人)
・保健省発表の5月22日現在データによると、同国の感染者数がロシア(編注;32万6,448人)を抜いて世界2位に躍進。
・ボルソナーロ大統領は以前より、COVID-19は一種の風邪だと称して、経済活動優先を強調。
・厳しい都市封鎖措置を講じてきた州知事や大都市圏市長らも、大統領のみならず市民からの要請もあり、同解除の可能性を検討し始めた段階での上記結果に困惑。
・リオデジャネイロ市長は今後二、三日中に店舗再開を徐々に進めていくとの方針を表明も、サンパウロ市長は経済活動再開予定とした当初計画について、再検討すると発表。
<米国>(感染者160万1,434人、死者9万6,007人)
・トランプ大統領、各州知事に対して、メモリアルデーでの教会再開措置を講ずるよう要請。
・同大統領は、米疾病予防管理センター(CDC)からも手順を踏むことで礼拝再開は可能とのガイドラインが出ているとも付言。
・ホワイトハウスCOVID-19対策チーム責任者のデボラ・バークス博士は、メモリアルデーで市民が気を付けるべきガイドライン詳細につき説明。例えば、テニスをする際、自身の印が付いたボールのみ使用するとか、ピクニックに携行する食器類は全て使い捨て用のものにするとか、また、それぞれソーシャルディスタンスを常に保つよう心掛ける等々。
<日本>(感染者1万6,513人、死者796人)
・日本水商売協会は、協会員のナイトクラブ等に対して、接客に当たってのガイドライン詳細を発表、指示。
・主たる内容は、来客含めて飲食時以外はマスク着用、ドアノブやテーブルは30分毎に消毒、カラオケ用マイクは一人使用毎に消毒、従業員は手洗い・うがいを30分毎に励行、来客とホステスの間に一人分の空席を設けること、ホステスは客の髪や顔に触れないこと、従業員は帰宅後速やかに風呂・シャワーを浴びること、店で着用のドレス等は頻繁にクリーニング、更に、海外からの来客は、政府指示の到着後14日間の自主隔離を経ていなければ、入店拒否。
<英国>(感染者25万5,544人、死者3万6,475人)
・『ガーディアン』や『ミラー』紙が、ボリス・ジョンソン首相の上級顧問ドミニク・カミングス氏が3月末、ロンドンより250マイル(400キロメーター)北のノースイースト・イングランドにある実家を訪問していたとの記事掲載。
・ロンドンでは3月23日から都市封鎖措置が講じられ、現住所から離れた実家や親戚宅訪問等を自粛するよう求められていた最中の出来事で、市民からの通報で警察沙汰。
・ノースイースト・イングランドのダラム市警によると、3月31日に同氏実家を訪ね、外出自粛や緊急を要する旅行・移動等の説明を行ったというが、同氏の名前までは言及せず。
・野党労働党は声明で、“全市民適用のルールと、カミングス氏のみに適用されるルールがあることにつき、市民は納得していない”と糾弾して、本人並びに首相事務所に対して早急な説明を要求。
・カミングス氏は、2016年の欧州連合(EU)離脱の国民投票を勝利に結びつけた功労者で、以降ジョンソン氏の上級顧問に就任。
・カミングス氏の他、都市封鎖措置を簡単に破っている高官がおり、国内で物議。
<コロンビア>(感染者1万9,131人、死者682人)
・保健省は5月22日、一日の感染者が801人、死者30人と、いずれも過去最高を記録したと発表。
・特に、新たな感染者の4分の1が首都ボゴタに集中しており問題視。
・同国の都市封鎖措置はほぼ2ヵ月に及び、一部の製造業の再開が認められ、他の業種についても6月にかけて徐々に解除していく政府方針であっただけに、困惑。
(注)戦没将兵追悼記念日:米連邦政府の定めた祝日で、5月の最終月曜日。この祝日は、兵役中に亡くなった米兵士を追悼する日。最初は南北戦争で亡くなった北軍兵士を称えるために始められた。第一次世界大戦の後、あらゆる戦争、軍事行動で亡くなった米兵士を含むように拡大された。追悼に加え、ピクニック、家族の集い、スポーツイベントの機会でもある。
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