5月30日付Globali「
米メディア;当初は日本の新型コロナウィルス対策疑問視も、優秀な結果を目の当たりにして日本に見習うべしと評価変更」で触れたとおり、
「クルーズ船“ダイアモンド・プリンセス号”における新型コロナウィルス(COVID-19)対策遅延や、検疫数の絶対的不足等から、米メディアは当初、日本の対応策を疑問視してきた。
しかし、5月29日現在の結果でみてみると、米国の感染者数172万1,750人、死者数10万1,617人に対して、65歳以上の高齢者が総人口の4分の1以上占める日本では、それぞれ1万6,673人、886人と圧倒的に少ない。
ましてや、欧米諸国で導入された、罰則付きの都市封鎖措置と違って、法的強制力のない外出自粛要請に基づく日本の成果に驚愕し、見習うべしと評価を変えている。」
安倍晋三首相も5月25日、緊急事態措置解除を宣言した際、「日本モデル」の大いなる成果だと胸を張っている。
確かに、欧米先進国、特に主要7ヵ国(G-7)の中で比較してみると、日本の成果は驚くべきものである。
しかし、これら先進国に属さない国々まで対象を広げてみると、必ずしも日本の成果が突出する程でないことが分かる。
まず、①感染者数、②死者数、③致死率の絶対値比較でみると、東アジア、オセアニアや中東において、日本より優秀な結果を収めている国が多い(米ジョンズ・ホプキンス大学集計の6月2日午前11時現在データ引用)。
日本: ①16,787人、②899人、③5.64%
シンガポール: ①35,292人、②24人、 ③0.07%
フィリピン: ①18,638人、②960人、③5.15%
韓国: ①11,541人、②272人、③2.36%
タイ: ①3,082人、 ②57人、 ③1.85%
台湾: ①443人、 ②7人、 ③1.58%
ベトナム: ①328人、 ②0人、 ③0%
サウジアラビア: ①87,142人、②525人、③0.60%
カタール: ①58,433人、②40人、 ③0.07%
オマーン: ①12,223人、②50人、 ③0.41%
オーストラリア: ①7,221人、 ②102人、③1.41%
ニュージーランド:①1,504人、 ②22人、③1.46%
すなわち、日本の感染者数は上記12ヵ国中5位の多さであり、死者数では2位と、決して突出して良い訳ではなく、しかも致死率をみると最悪の結果となっている。
更に、人口100万人当たりの死者数で比較してみても、軒並み日本より少なく、多いのは中東3ヵ国(10.4~15.6人)とフィリピン(9.0人)のみである。
日本(1億2,650万人): 7.1人
韓国(5,130万人): 5.3人
ニュージーランド(480万人):4.6人
シンガポール(560万人): 4.3人
オーストラリア(2,500万人): 4.1人
タイ(6,940万人): 0.8人
台湾(2,330万人): 0.3人
ベトナム(9,550万人): 0人
従って、COVID-19対策に関する総合評価で言えば、医療設備等が先進国ほど備わっていないタイ、台湾、ベトナムなどが“奇跡的な対応と結果”を示していると言えよう。
なお、日本政府は今週初め、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドからの入国者に対する制限緩和を7月以降行う意向である旨発表している。
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