国連貿易開発会議(UNCTAD)は、新型肺炎による都市封鎖や移動規制により世界の観光収入が最大で3兆3000億ドル減少する可能性があると発表した。2019年には世界で約3億人の雇用をもたらした観光が、新型肺炎の流行による影響を最も受けた産業の1つであることが確認された。1日に公表され報告書は、海外旅行に対する需要の減少が8億5,000万人から11億人にのぼる観光客の減少につながる可能性があるという国連世界観光機関(UNWTO)の報告に基づいている。
『AFP』によると、UNCTADは、UNWTOの予測をもとに、観光および関連産業に関し、3つのシナリオを想定した。観光業と直結しているホテルやレストラン業、更にはホテルに農産物を販売する生産者、ホテルに融資をした銀行、 エネルギー生産者、建設などが対象に含まれる。
UNWTOが行った評価に最も近いシナリオは、8ヵ月間の国際観光の停止を想定しており、世界の国内総生産(GDP)の2.8%にあたる2.2兆ドルの収入減を推定している。...
全部読む
『AFP』によると、UNCTADは、UNWTOの予測をもとに、観光および関連産業に関し、3つのシナリオを想定した。観光業と直結しているホテルやレストラン業、更にはホテルに農産物を販売する生産者、ホテルに融資をした銀行、 エネルギー生産者、建設などが対象に含まれる。
UNWTOが行った評価に最も近いシナリオは、8ヵ月間の国際観光の停止を想定しており、世界の国内総生産(GDP)の2.8%にあたる2.2兆ドルの収入減を推定している。ただし、観光停止が4ヵ月しか続かない場合は1.2兆ドル、世界のGDPの1.5%に達する。逆に観光停止が1年続く場合は世界のGDPの4.2%、3.3兆ドルに達する可能性がある。
UNCTAD国際貿易部門の部長、パメラ コーク・ハミルトン氏は「こうした数字は、観光産業の経済的重要性と、世界中の何百万もの人々のライフラインとしての役割を担っている」のが観光産業であることを、再認識させてくれるものだとコメントしている。
そして、「開発途上国である小さな島国など、多くの国にとって、観光産業の崩壊は彼らの発展の見通しの崩壊を意味する。これはあってはならないことである。」と指摘した。
また、同報告書によると、中間のシナリオをもとに損失の国内経済に対する比率を見た場合、ジャマイカが最も打撃を受けることになり、タイ、クロアチア、ポルトガルが続く。ただし、減少額で見た場合は、米国と中国で減少が最も大きく、タイ、フランス、ドイツ、スペイン、イギリス、 イタリアと続く。
『BFMTV』によると、世界の代表的な観光地でもあるフランスでも、夏の期間のパリ市内の観光客は外国人観光客が90%を占めるパリでは、外国人観光客が来なくなっている状況に、多くの店舗が経営の存続に危機感を持っているという。
パリのグランブルバール商人・職人連盟の副代表を務めるサルファティ氏は、EUが7月より中国や日本など、15ヵ国からの渡航制限を解除したものの、そうした国々からのヨーロッパに観光に来たがる人は少ないことが予想される、とコメントしている。
更に、フランス人の約10人のうち9人が国内で夏休みを過ごす計画を持っている場合でも、都内観光をするのはそのうちの10%程度にとどまるだろうと分析している。EU内からの観光客が来るようになっても、損失を埋めるのは難しいだろうと予測している。
パリ7区商人組合代表は「国の経済力は、大規模な多国籍企業ではなく、中小企業や起業家たちの活動であり、パン屋の営業であっても10数人の仕事が関わってくることを忘れてはならない」と指摘している。
閉じる