ファッションの都パリ。しかし新型肺炎の流行がまだ収束していないフランスでは、衣料品の売り上げは夏季商戦期間にも関わらず伸び悩んでいる。市場は2020年に19%縮小する可能性があり、新型肺炎流行前の売り上げへの復活は2023年までは期待できないと見られている。
『ラクロワ』によると、7月15日から8月11日までの夏の4週間のセールは、多くの衣料品店にとって苦い結果となった。パリ・イル・ド・フランス商工会議所(CCI)の調査によると、調査対象となった小売業者の60%以上がセール中でも売り上げは上昇せず、小売店の87%は、昨年夏の売り上げを下回ったと回答した。
大手衣料品店のほとんどが加盟するフランスの専門店連盟プロコス(PROCOS)も、夏季セールの売上高への影響は「非常に小さかった」と報告している。...
全部読む
『ラクロワ』によると、7月15日から8月11日までの夏の4週間のセールは、多くの衣料品店にとって苦い結果となった。パリ・イル・ド・フランス商工会議所(CCI)の調査によると、調査対象となった小売業者の60%以上がセール中でも売り上げは上昇せず、小売店の87%は、昨年夏の売り上げを下回ったと回答した。
大手衣料品店のほとんどが加盟するフランスの専門店連盟プロコス(PROCOS)も、夏季セールの売上高への影響は「非常に小さかった」と報告している。
『ルモンド』によると、全国ショッピングモール協会は、7月のショッピングモールの入場者数は16%減少したことを報告している。600店舗を展開するアルマン・ティエリーグループは、入場者数はショッピングセンターで60%、都市中心部では40%減少したという。その結果、店舗の売上は2019年夏商戦期間と比較して30%減 となったと試算している。
パリ・イル・ド・フランス商工会議所(CCI)が300人の小売業者を対象に行った調査によると、79%の小売業者が今夏のセールには「非常に失望した」と回答している。
『BFMTV』は、今夏のセールは、キャッシュフローの改善、消費回復、在庫の処分という3つの目的があったと報じている。しかし、新型肺炎の流行によって消費者の環境への影響に対する意識が高まり、消費そのものの抑制やファストファッションに対する批判が高まり、更には感染者が新たに増えてきている今夏、フランス人のセールへの飛びつき方は弱かった。
また通常であれば夏に増える外国人観光客が今年は極端に少ないため、売り上げを増やすことがさらに難しい状況となっている。
『フランスアンフォ』は、新型肺炎の影響だけでなく、ファストファッションそのもののビジネスモデルが時代にあわなくなっている可能性があると報じている。
フランスで既製服・履物市場が昨年比で約20%減となった今年の販売不振は、一時的な後退よりも、今後も継続する傾向なのではないか。数ヵ月前から、フランスの都市部で多くの店舗がシャッターを閉めており、13,000人の雇用が脅かされているとさえ言われているという。
90年代には年4回だった新商品の展開が、現在は12回にまで増やしているお店もあるほど、短いサイクルで新商品が展開されるようになっている。しかしこうした購買欲を満足させようとする動きは通用しなくなってきているという。消費者は、持続可能な、より責任のある消費行動を心掛けるようになっており、例えば2019年にはフランス人の40%が服を少なくとも1着、古着屋さんで購入した、という調査結果が報告されている。
閉じる