9月16日付米
『AP通信』:「ロシアの諜報機関トップ、米国がベラルーシ反政権派を扇動していると非難」
ロシアの諜報機関トップは9月16日、米国がベラルーシの反政権派を扇動しているため、彼らの抗議行動が鎮静化せず6週間余りに及んでいると非難した。
反政権派は、8月9日の大統領選で不正があったため、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の当選は無効であるとして、それ以来同大統領の退陣を求めて毎週末に大規模抗議デモを繰り広げてきている。...
全部読む
9月16日付米
『AP通信』:「ロシアの諜報機関トップ、米国がベラルーシ反政権派を扇動していると非難」
ロシアの諜報機関トップは9月16日、米国がベラルーシの反政権派を扇動しているため、彼らの抗議行動が鎮静化せず6週間余りに及んでいると非難した。
反政権派は、8月9日の大統領選で不正があったため、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の当選は無効であるとして、それ以来同大統領の退陣を求めて毎週末に大規模抗議デモを繰り広げてきている。
そして、米国及びEUも、同選挙が自由でも公平でもなかったと非難し、同大統領に反政権側との対話を要求しているが、同大統領はこれを拒否している。
そうした中、ロシア海外諜報局(1991年に旧ソ連のKGB後継組織として設立)のセルゲイ・ナリシーキン局長が9月16日、米国が反政権派に数千万ドル(数十億円)の資金援助をして抗議活動を扇動していると非難する声明文を発表した。
同局長は更に、“かつての「カラー革命(注後記)」と同様の事態を引き起こそうと企んだもので、全くベラルーシ市民の利益とはならない”と強調した。
一方、9月14日に訪ロしたルカシェンコ大統領と4時間に及ぶ会談をしたウラジーミル・プーチン大統領は、15億ドル(約1,575億円)をベラルーシに融資すると発表している。
ベラルーシの反政権派は一斉に抗議の声を上げたが、ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は、ロシアはルカシェンコ大統領が合法的に選出された首脳だと認めていると表明した。
同報道官は、反政権派代表のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏から出されている、ルカシェンコ大統領が自ら退陣すれば安全は保証するとの提案について報道陣から質問されたところ、“正規に選出されたルカシェンコ大統領は、退陣含めて何ら対応する必要はない”と断言した。
一方、ロシアから強力な支援を取り付けたルカシェンコ大統領は、西側諸国がロシアを意図的に孤立させようとしていると非難した上で、ロシアとベラルーシは軍事協力を強化し、自分たちを敵視している北大西洋条約機構(NATO)に対抗するため共同軍事演習も実施していくと表明している。
なお、ロシアは今週初め、空挺部隊をベラルーシ南西端のブレスト(ポーランド国境付近の都市)に派遣して9月25日まで軍事演習をすると発表している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』:「ロシアのナリシーキン諜報局長、米国がベラルーシ暴動を扇動していると非難し、ルカシェンコ大統領も同意」
ルカシェンコ大統領は9月16日、ロシアのナリシーキン諜報局長による米国介在の暴動非難声明に続いて、西側諸国は何十年も前から、東欧諸国の混乱を引き起こしており、それはカラー革命と呼ばれているが、今回の米国の介入もそれに倣ってベラルーシを混乱に陥れようとしているものだ、と非難した。
なお、ナリシーキン諜報局長は、“米国は表立って行動していないが、裏で反政権派を操って、大規模抗議デモ等の組織活動を支援している”とし、“実際問題、米国が2019年及び2020年初めに、反政権派の基となる複数のNGO団体に約2千万ドル(約21億円)を支援し、ベラルーシ大統領選の遥か前から反政権運動を準備させてきている”とも付言している。
(注)カラー革命:2000年ごろから、中・東欧や中央アジアの旧共産圏諸国で民主化を掲げて起こった一連の政権交代を指す。これらの政権交代劇では、政権交代を目指す勢力が、特定の色や花を象徴として採用したり、メディアの報道においてそれらが当てはめられることが多かったため、そう呼ばれた。2000年のセルビア(旧ユーゴスラビア)のブルドーザー革命、2003年のジョージアのバラ革命、2004年ウクライナのオレンジ革命、2005年キルギスのチューリップ革命等がある。
閉じる