3週間近く前の前回報道時以降、北半球が冬を迎えることもあって新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行は依然勢いが衰えず、感染者はついに4,200万人を超え、死者も110万人超となっている。アジアで最多感染者を出しているインドは、このままいくと世界最多の米国を抜くのは時間の問題と見込まれていたが、米国では、トランプ政権や与党・共和党がマスク着用を政治問題化していることもあって、マスク不着用による感染再拡大の事態を招いていることから、米国の世界1位は当分揺るぎようがない。なお、10月24日午後11時現在、感染者4,221万4,376人(前回より+704万9千人)、死者114万4,319人(同+10万7千人)、致死率2.7%(同▼0.2%)となっている(米ジョンズ・ホプキンズ大学収集データを引用)。
10月24日付
『AP通信』他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
≪ハイライト≫
●国連:総会議長がニューヨーク市長に会談申し込むも、同市長はこれを拒絶。
●米国:①トランプ大統領、大統領選討論会の席上、テキサス州(共和党牙城)の感染者数増が止まったと強調せるも、同州南西端のエルパソ(メキシコ国境沿い)では過去最悪を記録。
②ニューヨーク州、一日の感染者数が1千人超と1ヵ月前より倍増と、再び深刻化。
●インド:先月、一日10万人近くの感染者だったことに比べて、現在は5万人超となっているものの、今月から来月にかけて三大祭りのシーズンを迎え、再び急増を懸念。
●ブラジル:ボルソナーロ大統領が中国製ワクチンはいらないと宣言して中国の猛反発を招いたためか、保健省が数日後に中国製ワクチン購入を決定。
●フランス:欧州内では直近で初めて感染者100万人超(欧州最多はロシアの147万人)。
●メキシコ:北部チワワ州の感染者が再び急増し、病院が満杯になったことから10月23日から再び都市封鎖措置。
≪国連≫
・総会議長のボルカン・ボズキル氏(トルコの元外交官、2020年6月就任)は、ニューヨーク市のビル・デ・ブラシオ市長に会談を求めたが断られたと公表。
・同議長は、“国連本部を1950年代に同市に設けて以来、同市は経済的恩恵や数万人の雇用を享受したはずなのに、今回の措置は遺憾”と表明。
・同議長のブレンデン・バルマ報道官は記者会見で、2週間前に面談申し入れをしていたのに、数日前に突然断わりの返答があったと説明。
・一方、同市のペニー・アビーウォードゥナ国際関係担当理事は、同市長の返答については言及せず、ただ、“同市長はアントニオ・グテーレス事務総長と非常に良い関係にある”とし、また、“前議長の方々とも深い協力関係を築いてきている”とした上で、“今後も国連との友好関係を継続することを望む”とのみコメント。
≪米国≫(感染者857万8,831人、死者22万7,107人、致死率2.6%)
・トランプ大統領は、10月22日に開催されたバイデン候補との大統領選討論会の席上、テキサス州(共和党牙城)のCOVID-19感染が飛躍的に改善と発言したが、同州南西端のエルパソ(メキシコ国境沿い)の感染者は過去最悪を記録。
・ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は10月22日、同州の一日の感染者が再び1千人を超えて1ヵ月前の2倍以上となり、6月下旬以来最悪となっていると警鐘。
≪インド≫(感染者781万5,363人、死者11万8,007人、致死率1.5%)
・保健省は10月24日、一日の感染者が5万3,370人でついに780万人超となり、また、死者も650人出て11万8千人台となったと発表。
・ただ、先月に一日10万人近くの感染者が出たときに比べて漸減傾向。
・しかし、同省高官は、今後三大祭りのシーズン(10月末ダシャラー祭、11月ヒンズー教の新年に当たるディワーリー祭)を迎え大勢の人出となるため、再度感染急増を懸念。
≪ブラジル≫(感染者535万5,650人、死者15万6,528人、致死率2.9%)
・ボルソナーロ大統領が10月21日に、中国製ワクチンの購入を許可しないと発言。
・しかし、中国側の猛反発はもとより、州や大都市からの突き上げにあったためか、保健省が10月24日、中国製ワクチンの輸入を許可すると発表。
≪フランス≫(感染者104万1,075人、死者3万4,752人、致死率3.3%)
・直前一日の感染者が4万2千人増となり、欧州内では直近で初めて100万人超(欧州最多はロシアの147万人)。
・そこで、10月17日から実施の大都市圏16県に対する6週間の夜間外出禁止措置に加えて、10月24日以降追加38県でも同様措置導入を発表。これで全国101県のうち半分以上に適用。
・止むを得ない理由で夜間外出する場合、事前に取得した外出証明書携行を義務付け。違反者には135ユーロ(約1万7千円)の罰金賦課。
≪メキシコ≫(感染者88万775人、死者8万8,312人、致死率10.0%)
・北部のチワワ州での感染者が再び急増し、病院が満杯の状態となり、10月23日より再度都市封鎖措置実施。
・保健省によると、他の北部3州(ドゥランゴ、コアウイラ、ヌエボ・レオン)も最悪に近いレベルになりつつあると警鐘。
・全国的にも、全32州のうち19州で10月19日以降、感染者急増という状況。
≪イタリア≫(感染者48万4,869人、死者3万7,059人、致死率7.6%)
・ナポリ(カンパニア州)で10月23日夜、数百人のデモ隊が、同市で実施され始めた午後11時から翌朝午前5時の間の夜間外出禁止措置に抗議して警官隊と衝突。
・同州のビンセンツォ・デ・ルーカ知事が同日のテレビで、“必要不可欠な事業を除いて、都市封鎖措置を講じざるを得ない”と発言したことから、商店主らも同デモに参加して猛抗議。
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