既報どおり、先々週に行われた米大統領選で当確となったジョー・バイデン民主党候補(77歳)に対して、世界の各国首脳が祝福のメッセージを送っている。そうした中、事態を静観していた中国も、今後の米中関係改善に期待してバイデン氏の当選に対して祝意を表した。そこで、依然沈黙を守るのは、ドナルド・トランプ大統領(74歳)の盟友とされるロシア、北朝鮮、ブラジル、メキシコ首脳のみとなった。
11月13日付米
『USAトゥデイ』紙:「中国、“米国民の選択を尊重する”としてバイデン氏の当選を祝福」
中国外交部(省に相当)の汪文斌(ワン・ウェンビン、49歳)報道官は11月13日、“米国民の選択を尊重する”とし、“バイデン、ハリス両氏に祝意を表する”と表明した。
定例記者会見で述べたもので、これまで中国は、他の一部の国と同様、大統領選の結果について沈黙を守っていた。
同報道官は、発表の遅延について何ら言及しなかったが、ただ、“米国憲法及び関連手続きに従って、結果が明らかになる”とのみ付言した。...
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11月13日付米
『USAトゥデイ』紙:「中国、“米国民の選択を尊重する”としてバイデン氏の当選を祝福」
中国外交部(省に相当)の汪文斌(ワン・ウェンビン、49歳)報道官は11月13日、“米国民の選択を尊重する”とし、“バイデン、ハリス両氏に祝意を表する”と表明した。
定例記者会見で述べたもので、これまで中国は、他の一部の国と同様、大統領選の結果について沈黙を守っていた。
同報道官は、発表の遅延について何ら言及しなかったが、ただ、“米国憲法及び関連手続きに従って、結果が明らかになる”とのみ付言した。
中国メディアや政治評論家、及び一部高官は、バイデン政権となったら、トランプ政権によって大きく傷ついた米中関係がリセットされるものと期待している。
劉鶴(リウ・ホー、68歳)副首相の上級顧問で中国シンクタンク「中国及び世界研究センター(2008年設立)」の創設者でもある王輝耀(ワン・フイヤオ、62歳)氏は、“バイデン政権が、一方的に中国攻撃をすることなく中国側にアプローチしてくることを望む”と表明している。
更に王氏は、“もしバイデン氏が経済復興及び新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行鎮静化に取り組むことを望むなら、中国との連携が必須である”とも付言した。
また、ワシントンDC本拠の安全保障問題研究シンクタンク「防衛優先(2016年設立)」のベンジャミン・フリードマン政策担当部長は、“バイデン氏は中国に対して「断固とした」対応を取るだろうが、前政権のように真っ向から敵対するのではなく、丁寧な表現を用いてのアプローチを仕掛けるものとみられる”と解説している。
なお、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席はまだ公式に祝福メッセージを発信していないが、中国政府としては、バイデン氏の政権移行チームとの意思疎通を図るため、今回の祝意表明に至ったものと考えられる。
一方、トランプ大統領の盟友とされるウラジーミル・プーチン大統領(68歳)は、トランプ氏の起こしている訴訟等の一連の事態に決着がつくまで、公式な祝意表明は保留するとしている。
また、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領(65歳)及びメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領(66歳)も、依然事態を静観して沈黙を守っている。
同日付中国『環球時報』:「中国、“米国民及び同憲法を尊重して”バイデン氏当選に祝意」
汪報道官は、米国内及び国際社会の対応を見守っていたが、今回、米国民の選択が米国憲法や関連手続きに沿った上での結果として尊重する、と表明した。
今回の声明を受けて、米主要メディアのひとつである『ワシントン・ポスト』紙は、“中国が遂にバイデン、ハリス両氏の当選を祝福”と報じているが、中国の専門家は、今回の祝意は中国首脳(習国家主席)名で発信されたものではないと言及している。
中国外交学院(1955年設立の外交部所属の大学)国際関係研究所の李海東(リー・ハイトン)教授は11月13日、『環球時報』のインタビューに答えて、“外交部発表で、「次期大統領」と呼ばすバイデン「氏」と呼んでいることから、同氏及びハリス氏が選挙で当確となっていることを考慮して祝意を表明するものの、一方で、依然トランプ大統領及びその陣営が訴訟で争っているという事態を無視できないため、最終決着がつくまでは慎重に対応しているものと考えられる”と解説している。
2016年の前回選挙時、習国家主席が公式にトランプ氏に祝福メッセージを発信したのは、同氏が勝利宣言をし、また、ヒラリー・クリントン氏(73歳)が敗北を認める旨表明した後であった。
中国社会科学院(1977年設立のシンクタンク最高峰)米国研究専門の劉翔(リウ・シャン)主任研究員は、“トランプ氏が敗北を認めない限り、また、12月の選挙人団の投票で確定しない限り、更には、(前項でも確定せず)最終段階に進んで1月の米下院議会による投票結果が確定しない限り、習国家主席が当選の祝意を表明することは考えられない”と言及した。
そして劉氏は、“外交部報道官が、「全ては米国憲法及びその一連の手続きを経て最終決定されるものと理解している」と付言していることがその表れだ”とも付言した。
また、これに先立ち、国連のアントニオ・グテーレス事務総長(71歳)が、他主要国首脳に続いて、バイデン氏当選を祝福している。
そこで、劉氏は、“国連安全保障理事会常任理事国として中国も、同事務総長や他主要国の動静に配慮した上での祝意表明だと考えられる”と解説した。
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