習近平国家主席(シー・チンピン、67歳)は、2017年の世界経済フォーラム(WFE、注後記)年次総会(スイスのダボスで開催)に初めて出席して行った基調講演の中で、米国第一主義を叫んで国際社会を顧みないドナルド・トランプ大統領(当時)を尻目に、グローバル化した国際経済を引っ張っていくと大国としての自負をアピールした。そして今年の同総会については、オンライン会議であったが、北京からビデオ参加し、米新政権が出張ってくる前に、新型コロナウィルス(COVID-19)感染症や気候変動問題等、国際社会が抱える喫緊の課題について、中国がリードしていくと、再び大国中国の存在感をアピールした。
1月25日付米
『AP通信』:「習国家主席、WEF総会での演説でCOVID-19及び気候変動問題に団結して臨むようアピール」
習近平国家主席は1月25日、オンライン会議形式で開催されたWEF年次総会にビデオ参加し、世界は今やCOVID-19や気候変動問題に一丸となって対抗していく必要があると説いた。
同国家主席は演説の中で、“感染症対策は国際社会が抱える喫緊の課題だ”とした上で、“今こそ国際社会が協力して難題を克服していくべきだ”と訴えた。...
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1月25日付米
『AP通信』:「習国家主席、WEF総会での演説でCOVID-19及び気候変動問題に団結して臨むようアピール」
習近平国家主席は1月25日、オンライン会議形式で開催されたWEF年次総会にビデオ参加し、世界は今やCOVID-19や気候変動問題に一丸となって対抗していく必要があると説いた。
同国家主席は演説の中で、“感染症対策は国際社会が抱える喫緊の課題だ”とした上で、“今こそ国際社会が協力して難題を克服していくべきだ”と訴えた。
そして、“特に、ワクチン開発・生産・配布における国際協調を強化し、地球上の全ての国の人々にワクチンが押し並べて届くように努める必要がある”とも強調した。
同国家主席の論調は、これまで何度も繰り返されてきたように、富める国と途上国のギャップを埋めることや、如何なる国も他国の内政に干渉すべきではないということである。
また、同国家主席は、米国を名指しはしなかったが、国際ルールに準拠し、多様性を尊び、そして貿易や技術開発で対立することは避けるよう求めた。
その米国においては、ジョー・バイデン大統領(78歳)が就任したばかりで、対中国政策をどう進めようとするのか明らかにされていないが、感染症や地球温暖化問題ではトランプ前政権のように“米国第一主義”はとらず、もっと世間一般に通じる対応を取ろうとしている。
ただ、多くの専門家は、貿易・先端技術開発や人権問題で、対中政策が軟化することはないとみている。
なお、WEFオンライン会議では、他にインドのナレンドラ・モディ首相(70歳)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(66歳)、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領(68歳)が演説する予定である。
1月26日付中国『新華社通信』:「世界の専門家、WEFでの多国間主義に関わる習国家主席の演説は、国際社会の協調を強化する効果が絶大と評価」
世界の専門家の評価によると、WEFダボス・アジェンダとしてオンライン形式で開催されている国際会議において、1月25日の会議初日に登場した習国家主席の演説によって、COVID-19下における多国間主義の重要性や国際協調が急務であることが広く理解されたとしている。
同国家主席の演説のタイトルは、“人類の将来に向けて多国間協調主義に光明を当てよう”というもので、多国間主義の維持及び国際協調の強化を訴える内容であった。
演説の中で同国家主席は、多国間主義を堅持・実践し、開放型世界経済の構築を推進し、経済のグローバル化がより開放的でかつ双方にとって利益となるよう、中国として今度とも最善を尽くしていくと強調している。
(注)WEF:経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関。1971年にスイス人経済学者クラウス・シュワブ(82歳)により設立。スイスのダボスで開催される年次総会(通称「ダボス会議」)では、約2,500名の選ばれた知識人やジャーナリスト、多国籍企業経営者や国際的な政治指導者などのトップリーダーが一堂に会し、健康や環境等を含めた世界が直面する重大な問題について議論。
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