米電気自動車(EV)メーカーのテスラは、アメリカ、中国、そして間もなくドイツに続いて、インド南部のカルナタカ州に工場を建設する方向で地元当局との交渉が進んでいると言われている。インドは世界4位の自動車市場である。
インドニュースサイト
『ザ・プリント』は、テスラ社は、インドで初めて電気自動車を生産するための合意に近づいており、新たな成長の機会を切り開いていると報じている。
テスラは、インド南部のカルナタカ州で自動車組み立て工場を建設するために地元当局と交渉を進めているという。現在同州でオフィス不動産の査定を行っており、研究開発施設を設置する計画だと匿名希望の関係者は述べている。カルナタカ州の州都であるバンガロールがEVと航空宇宙の製造の人材が集まる拠点になりつつあるため、この地が選ばれた。...
全部読む
インドニュースサイト
『ザ・プリント』は、テスラ社は、インドで初めて電気自動車を生産するための合意に近づいており、新たな成長の機会を切り開いていると報じている。
テスラは、インド南部のカルナタカ州で自動車組み立て工場を建設するために地元当局と交渉を進めているという。現在同州でオフィス不動産の査定を行っており、研究開発施設を設置する計画だと匿名希望の関係者は述べている。カルナタカ州の州都であるバンガロールがEVと航空宇宙の製造の人材が集まる拠点になりつつあるため、この地が選ばれた。同社は既にバンガロール中心部で現地法人を設立し、オフィス事務所も構えている。
地元から歓迎の声が上がっている一方で、テスラのインドへの進出は厳しいものがあるとの声も上がっている。 ブルームバーグNEFによると、中国の年間自動車販売台数に占めるEVの割合は約5%であるのに対し、インドでは1%未満となっている。
『タイムズ・オブ・インディア』によると、調査会社「ガートナー」のシニアディレクターであるペドロ・パチェコ氏は、テスラのEV車は、新興市場国のほとんどの人にとって手の届かない高級車であると指摘している。ただし莫大な人口や経済成長の可能性を考えると、テスラは、先進国の顧客と同等の購買力を持っている、急増中の新裕福層をターゲットに販売を伸ばしていくことが予想される。パチェコ氏はまた、テスラがインドの工場を近隣諸国向けの生産・輸出拠点として活用することもできると指摘している。
しかし、今のところインドでは高級車はまだ年間3万台から5万台の販売台数にとどまっており、市場としては極めて小さいのも事実だ。
インドでのEV市場の可能性は高いものの、バッテリーの充電インフラが不十分であることもEV普及の障壁になるだろう。国際エネルギー機関(International Energy Agency)によると、世界の公共の低速・急速充電スポットの約60%は中国にあるという。ユービーエスグループAGはレポートで、中国の自動車メーカーが競争力のあるEVモデルを展開し、多様なエコシステムを開発する中で、中国は「現在の世界の自動車産業の姿を変革させる方向へと向かっている」と報告している。インドも同様の動きを見せているものの、中国の規模に全く追い付いていないのが現状だ。
『ロイター通信』も、インド政府は石油への依存度を下げ、汚染を減らすことに熱心であるが、電気自動車の普及に向けた努力は、製造や充電スポットなどのインフラへの投資が不足していることで阻まれてきたと報じている。そこでインド政府は昨年、投資を促進するために、先進的なバッテリー製造施設を設置する企業に46億ドル(4853億円)のインセンティブを提供する計画を発表していた。
閉じる