トランプ政権時代の厳格な移民政策を覆し、1100万人の不法移民にも市民権を与えようと動いているバイデン政権。しかし、バイデン大統領が移民を歓迎する政策を推し進めていることが原因で、米国南西部のメキシコとの国境に、対応しきれないほどの大量の移民、特に保護者のいない子供たちが押し寄せ、「国境危機」を起こしているとして、国内外から批判の声が上がり始めている。
民主党支持のメディアとして知られる
『ワシントンポスト』は21日、バイデン政権が移民の急増に適切に対処できていないと非難する記事を掲載した。同紙によると、バイデン大統領は就任直前に、移民の受け入れ体制を整えたうえで、前政権の政策を覆していきたいと述べていた。しかし「新大統領は自ら受け入れ体制の一部を壊し始めた。就任式の日だけで5つの移民関連の大統領令を出し、前任者よりもはるかに人道的で歓迎的な移民政策を約束した。また、前政権と変わり、同伴者のいない未成年者の入国を認めるようになった。」しかし、その結果「現在バイデン政権は、過去20年間で最大の移民の急増を抑えるために奔走しており、今年は200万人もの移民が南の国境にやってくると言われている。バイデンが避けたいと言っていた状況が起きている。」と報じている。
また「バイデンと側近たちが危機と呼ぶことを断固として拒否している国境の状況は、急増を予告されていたにもかかわらず、それに対処するための準備と能力を欠いた政権の結果である。政府当局は、移民が国境に押し寄せてくるのを阻止することよりも、リベラルな活動家に向けてアピールしているように見えることもある曖昧なメッセージを報じてきた。」と非難している。「また、同伴者のいない未成年者の入国を認めることをはじめとするいくつかの措置をとったことで、移民の流れが活発化し、より多くの人々がチャンスをつかもうと押し寄せて来るようになった。」と伝えている。
中央アメリカ・エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は、米『フォックスニュース』のインタビューで、アメリカの多くの人々と同様に、自国政府もアメリカ南部国境での不法移民問題を懸念していると語った。
「明らかに、エルサルバドルは経済的機会の欠如と安全の欠如という、移民の主要因となる2つの基本的なものを提供できていない。しかし、ほとんどの人は自分の国を離れたくないものだ。自分の国、食べ物、天気が好き、自分の国だから。さらに自分の国に家族や友達がいる。」
そして大統領は、アメリカが多くの国民にとって魅力的な国になったのは、先に述べた2つの重要な要素を提供してくれるからだと語った。しかし、大量の移民はどちらの国にとっても「利益にならない」と警告している。
「第一に、不道徳だ。勤勉な人や才能のある人、危険を冒してでも仕事につきたい人を(米国に)送り込むよりも、経済の原動力となる人々を国内に留めておきたい。移民となって稼いだぶんを送金させるのではなく、我が国にとどまって生産してもらいたい」。「エルサルバドルをはじめ、ラテンアメリカの多くの国で何十年も前から続いている移民問題は、移民を推進している国の、移民への依存を助長しているだけだ。だから、アメリカにとっても、エルサルバドルにとっても良いことではないのだ。」
また、ブケレ大統領は、「移民」という人材を輸出している国は、経済的にダメージを受けるとも説明している。「商品やサービスを輸出するのではなく、潜在的な労働者を輸出することで、米国で雇用されるようになった移民がラテンアメリカの家族に送る送金に頼る経済」を作ってしまう。つまり、米国とラテンアメリカの「双方にとって一番良いのは、人々が自国にとどまり、自国で働いて家族を養うことだ」と指摘した。
『ワシントンポスト』が入手した最新データによると、現在、保健社会福祉省が保護している保護者のいない移民の子どもたちだけで1万人以上、税関・国境警備局が保護している子どもたちは5,000人以上で、これまでの記録の約2倍にふくらんでいるという。
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