北極ルートは、これまで北東ルートと呼ばれていたが、この海上輸送ルートはロシアの北極海沿岸を通って太平洋と大西洋を結ぶルートである。
このルートは確かにスエズ運河より短いルートとなるが、夏季しか使えないという難点がある。
ロシアの外務省が北極ルートを推奨する論拠は、海上輸送のリスクを回避できる点である。 すなわちスエズ運河が今回の事故のように閉鎖された場合、海上輸送運用会社は替わりとなるルートを探すことになり、北極ルートが有効な選択肢となると主張している。...
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北極ルートは、これまで北東ルートと呼ばれていたが、この海上輸送ルートはロシアの北極海沿岸を通って太平洋と大西洋を結ぶルートである。
このルートは確かにスエズ運河より短いルートとなるが、夏季しか使えないという難点がある。
ロシアの外務省が北極ルートを推奨する論拠は、海上輸送のリスクを回避できる点である。 すなわちスエズ運河が今回の事故のように閉鎖された場合、海上輸送運用会社は替わりとなるルートを探すことになり、北極ルートが有効な選択肢となると主張している。
確かにオランダのロッテルダムから上海への航路にロシアの北極沿岸ルートを使えば、輸送時間が40%短縮できるという。しかし難点としては航程で深い海域での港が乏しいことと、1年の3/4の期間は氷に閉ざされることである。
そのため、冬季に北極海を航行するには砕氷船のエスコートと、30m巾の水路を前もって作っておく準備が必要となる。なお、LNG船では30m巾で充分であるが、コンテナ船は50m巾以上が必要となる。
一方、地球の気候変動によって状況が一変する可能性があるという。2020年の北極海の氷の厚さは1980年当時の1/5となり、さらに北極での氷表層面積は減少しており、昨年9月には26,000km2という最低記録を示している。
なお、スエズ運河で沿岸の衝突したコンテナ船の牽引についてはエジプトの隣国、トルコが自国の引き船を手配したいと提案している。
大型コンテナ船が一日も早くけん引され、スエズ運河の渋滞状態が解消されることを期待したい。
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