4月1日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「フィリピン、同国EEZ内の6つの島・環礁に留まる中国大漁船団に退去するよう重ねて要求」
フィリピン政府は3月31日、フィリピンが領有権を主張している南シナ海内の6つの島・環礁周辺に長期間留まっている250隻余りの中国大漁船団に対して、即刻退去するよう重ねて要求していると発表した。
同政府によると、大漁船団は民兵組織が運行しているとみられ、4隻の中国軍艦も加わっているという。...
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4月1日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「フィリピン、同国EEZ内の6つの島・環礁に留まる中国大漁船団に退去するよう重ねて要求」
フィリピン政府は3月31日、フィリピンが領有権を主張している南シナ海内の6つの島・環礁周辺に長期間留まっている250隻余りの中国大漁船団に対して、即刻退去するよう重ねて要求していると発表した。
同政府によると、大漁船団は民兵組織が運行しているとみられ、4隻の中国軍艦も加わっているという。
同船団が留まっているのは、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の海域で、一部の環礁には中国実効支配強化の一環で人工島が建設されている。
そこで同政府は、大船団が長期に留まることは、“同海域の漁船操業や船の運航に支障が出る”のみならず、同海域のサンゴ礁へ悪影響を及ぼしかねず、更に、同国の領有権を脅かすと主張している。
しかし、中国は、フィリピンの外交ルートを通じての要求はもとより、1週間以上前に発信したデルフィン・ロレンザーナ国防相(72歳)の正式要請を無視した上で、同海域は中国主権内であり、かつ、同船団は荒天から非難しているだけだとして全く取り合おうとしない。
そこでフィリピンが海上及び上空より監視を何度か試みたところ、3月29日現在、“中国民兵(注後記)”運行の44隻がスプラトリー諸島(南沙諸島)のフィリピンEEZ内のホイットサン礁周辺に留まっており、また、200隻余りの大船団が同諸島内の3つの中国人工島を含めた5つの環礁海域に停泊していることが認められた。
そして更に、4隻の中国軍艦が、1995年より中国が実効支配して、現在は埋め立てて人工島を建設しているミスチーフ環礁に停泊しているという。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(76歳)の国家安全保障担当顧問が、領有権争いのある同海域に留まる中国大漁船団の監視画像を公開した上で、同海域はフィリピンEEZ内であり、漁業権のみならず天然資源の開発権を有すると主張している。
フィリピンは、スプラトリー諸島海域内の9つの島・環礁を実効支配しているが、南シナ海における領有権は、中国の他、ベトナム、マレーシア、台湾、ブルネイも主張している。
その中でも中国は、同海内の7つの環礁上に人工島を建設し、軍事拠点化して実効支配を既成事実化している。
同日付『ロイター通信』:「米国・フィリピン高官、南シナ海における直近の中国活動への対応策を協議」
ホワイトハウスは3月31日、米国及びフィリピンの国家安全保障問題担当高官が、南シナ海における中国による直近の示威的活動に対する懸念につき協議した旨明かした。
ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当、44歳)とハモヘネス・エスペロン国家安全保障担当顧問(69歳)が電話会議を行ったもので、“中国による南シナ海における一方的な活動に対して、今後とも協力して対応していく”ことで合意したとしている。
更にホワイトハウスは、“サリバン補佐官が、国際海洋秩序に則ってフィリピン側を支持するとした上で、米国・フィリピン相互防衛協定(1951年締結)は南シナ海にも適用されることを再確認した”と言及している。
なお、米国の他、カナダ・オーストラリア・日本などの国々も、中国の一方的海洋進出に異議を唱えている。
(注)中国民兵:中国の準軍事組織で、同国国防法や兵役法によって、民兵組成やその役割・任務が規定されている。広大な国土の地域ごとの特性に応じた民兵組織の集合体であり、平時は民間人と同様あらゆる産業に従事しているが、法律の規定によって一定の軍事訓練が課されている。大学にも民兵組織があり、サイバー戦部隊も存在し、また、新型コロナウィルス感染問題においても、民兵が動員され、防疫等の活動に従事している。総数としては、800~1,000万人と言われている。
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