4週間近く前の前回報告時より、世界の感染者及び死者とも再び上昇に転じており、それぞれ1億3,230万599人(+1,487万5,831人)、287万1,781人(+26万3,550人)、また、致死率は2.2%と横ばいとなっている。COVID-19用ワクチン接種は世界で進んでいるものの、感染力の強い変異株ウィルスの現出や、日本等ワクチン手当てが遅延している国がまだ多いことが感染再上昇の原因と考えられる(米ジョンズ・ホプキンズ大の4月7日午後3時現在の集計データ引用)。
4月7日付
『AP通信』他:「COVID-19感染問題に関わる直近の状況」
<ハイライト>
●米国:(1)ワクチン手当て促進に伴い、4月19日以降全成人対象の接種開始。
(2)カリフォルニア州、多くの州民のワクチン接種促進に伴い、現行の都市封鎖措置を6月15日に解除すると発表。
(3)ハワイ大学のフットボール選手8人がCOVID-19陽性だったことが判明し、同大学チームは、チーム全員の検疫が終了する4月14日までオープン戦(公式試合前の練習試合)中止。
●イタリア:4月一杯続くとみられる都市封鎖措置に抗って、ローマのレストラン・バーのオーナーらがデモ行進。極右グループも加わって警察隊と衝突。なお、変異株ウィルスの蔓延で、直近数ヵ月の感染者及び死者とも急増。
●トルコ:直近の感染者及び死者が最多を更新。大統領が、4月半ばよりのラマダン期間中の新たな都市封鎖措置の適用を発表。
●ウクライナ:感染者急増で4月5日より2週間の都市封鎖措置決定。大統領が、追加1千万回分のワクチン手当て合意と発表。
●チリ:直近の新規感染者急増に伴う病床のひっ迫を受けて、総選挙を5月中旬まで1ヵ月延期を決定。
●カナダ:最大都市トロントで第3波発生に伴い、4月7日から全校閉鎖、オンライン授業への移行を決定。
●韓国:ワクチン手当て・接種が遅延する中、新規感染者が直近3ヵ月で最多。
●北朝鮮:世界保健機関(WHO)提出の直近の報告書で、依然COVID-19感染者ゼロと報告。
<米国>(感染者3,105万6,277人、死者56万1,775人、致死率1.8%)
・バイデン大統領(78歳)は4月6日、今週中に追加2,800万回分以上のワクチンが全米に提供可能となったと発表。また、就任以来、1億5千万回分のワクチン接種完了していることもあって、4月19日以降全成人を対象としたワクチン接種を開始すると表明。
・カリフォルニア州のマーク・ゲイリィ保健福祉長官は4月6日、州民のワクチン接種促進の見込みが立ったことから、現行の都市封鎖措置を6月15日で以て解除すると発表。同州では昨春以降感染率が最悪であったことから、これまで数度にわたって全米で最も厳しい行動制限措置を実施。
・ハワイ大学(1907年創立の州立大学)のフットボール・チームの8選手がCOVID-19陽性であったことが判明。そこで同大は、81人の全選手の検疫が終了する4月14日まで、オープン戦中止を決定。
<イタリア>(感染者368万6,707人、死者11万1,747人、致死率3.0%)
・ローマのレストラン・バーのオーナーら数百人が4月6日、4月一杯継続される見込みの都市封鎖措置に抗議して議会周辺をデモ行進。極右グループも加わって警察隊と衝突し、警察官1人が負傷。
・同国では、変異株ウィルスの蔓延もあって、直近数ヵ月の1日当たり感染者数万人、死者数百人と深刻化。
<トルコ>(感染者357万9,185人、死者3万2,667人、致死率0.9%)
・保健省が、直近の新規感染者4万9,685人、死者211人と、一日当たりの最多記録更新と発表。3月になって、都市封鎖措置が緩和されて以降再び急増傾向。同省によると、新規感染者の約75%が変異株ウィルスに感染。
・エルドアン大統領(67歳)は先週、4月13日より始まるラマダン(“聖なる月”の断食慣習)期間中の週末の都市封鎖措置導入を発表。
<ウクライナ>(感染者176万9,164人、死者3万5,017人、致死率2.0%)
・ゼレンスキー大統領(43歳)は4月6日、米ファイザー(1849年設立の世界2位の製薬会社)と交渉して追加1千万回分のワクチン確保に成功したと発表。
・同国はこれまで、英国アストラゼネカ(1999年設立)製ワクチン50万回分、中国シノバック(1999年設立)製ワクチン21万5千回分を手当て。
・ただ、感染者急増に遭って、4月5日から2週間の都市封鎖措置を実施。
<チリ>(感染者103万2,612人、死者2万3,677人、致死率2.3%)
・新規感染者急増を受けて集中治療室占拠率96%とひっ迫していることから、ピニェラ大統領(71歳)が4月6日、4月10、11日予定の総選挙日程を5月15、16日に延期することを提案し議会も同意。
・総選挙後の議会では、ピノチェト大統領(1915~2006年、1973~1990年在任の第30代大統領)による独裁政権下で制定された憲法改正が審議される予定で、昨年10月25日実施の国民投票の結果、80%近くの有権者が憲法改正を支持。
<カナダ>(感染者102万893人、死者2万3,141人、致死率2.3%)
・最大都市トロントのアイリーン・デ・ビラ医務官(51歳)は4月6日、直近の感染者急増第3波を受けて、4月7日より全校を閉鎖しオンライン授業に移行すると発表。
・オンタリオ州のダグ・フォード首相(56歳)は、学校は安全だと主張したが、北米で最大の教育委員会を有するトロントでは、医務官の決定が優先。
・なお、同州の感染者は一日当たり3千人超と、主として変異株ウィルスの感染の影響大。
<韓国>(感染者10万6,898人、死者1,756人、致死率1.6%)
・ワクチン手当てが遅延している最中、直近3ヵ月間で新規感染者数が急増。
・4月7日の感染者668人は、今年1月8日の最多記録674人に次ぐ記録。
・米国や欧州に比して感染流行が深刻でないことから、ワクチン手当てを様子見したことが現在のワクチン確保遅延の原因だとして、行政府に対して非難の声。
<北朝鮮>(全てゼロ)
・WHOに提出した直近の報告によると、同国の感染者は依然ゼロとの報告。
・WHO担当が4月7日、『AP通信』のインタビューに対して、同国では4月1日現在、2万3,121人を対象に感染症検査をしたが、全て陰性だった旨報告されていると回答。
・しかし、専門家は、脆弱な医療体制、また、穴だらけの国境警備より、国境を接する中国・ロシアから感染症が伝染していないことは大いに疑念とのコメント。
・なお、同国は今週、感染症を理由として、東京オリンピック・パラリンピックに不参加とすると、他国に先駆けて最初に公表。
閉じる