ジョー・バイデン大統領(78歳)は、対中戦略について、前任大統領のように喧嘩腰では臨まないものの、貿易・人権問題等で強硬姿勢を貫くと標榜している。それを踏まえて、この程米議会上院外交委員会(注後記)が、中国追い落としのための対中国家戦略法案を議会に提出する構えである。
4月8日付
『ロイター通信』:「米上院、中国追い落としのための国家戦略法案提出へ」
米上院関係筋が4月8日に明らかにしたところによると、上院外交委員会は4月14日、世界への影響力を急速に拡大している中国追い落としのため、対中国家戦略法案を議会に提出するための準備会合を開くという。
『ロイター通信』も一瞥した法案は「戦略的競争法2021」というタイトルで、中国に対抗していくため、外交面から戦略的主導権の発揮に至るまで幅広く網羅する内容となっている。...
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4月8日付
『ロイター通信』:「米上院、中国追い落としのための国家戦略法案提出へ」
米上院関係筋が4月8日に明らかにしたところによると、上院外交委員会は4月14日、世界への影響力を急速に拡大している中国追い落としのため、対中国家戦略法案を議会に提出するための準備会合を開くという。
『ロイター通信』も一瞥した法案は「戦略的競争法2021」というタイトルで、中国に対抗していくため、外交面から戦略的主導権の発揮に至るまで幅広く網羅する内容となっている。
具体的には、経済競争で中国を打ち負かす戦略のみならず、ウィグル族等少数民族への弾圧や香港民主派の排斥等反民主主義的活動、また南シナ海における一方的海洋進出に対しても徹底的に対抗していくとする、民主・共和両党の合意草案となっている。
更に、“インド太平洋地域における米国の権威向上のために、必要不可欠な軍備増強を優先する”ために、議会は連邦予算につき“それに見合った額”を計上することを確約するとしている。
また、台湾とのパートナーシップ強化の必要性を訴え、中国による台湾弾圧を阻止するためにも、米高官が様々なレベルで制限なく台湾側と連携していくよう求めている。
一方、米同盟国との関係においても、中国の“侵略的だったり一方的だったりする活動”を監視することに協力するよう求めるとする。
これとは逆に、中国の“一帯一路経済圏構想”の名の下に推進しているインフラ投資を受け入れ、結果として中国の軍事利用に供する国に対しては、支援等を制限すると規定している。
そして政府内においては、“連邦政府内の全ての省庁は一致団結して、中国に対抗していくことを最優先課題として取り組んでいくこと”と謳っている。
同委員会のボブ・メネンデス委員長(67歳、ニュージャージー州選出民主党議員)及びジム・リッシュ筆頭委員(77歳、アイダホ州選出共和党議員)連名で提出された草案は283ページにも及び、各委員は、4月14日までに内容を吟味し、必要な修正案等を施した上で、最終案決議に臨むよう求められている。
なお、対中戦略の観点から、上院商務委員会(1977年創設)も4月7日、2020年に草案が提出されていた、米国先端技術強化のための「恒久的最先端技術促進法案」について4月14日に公聴会を開催すると発表している。
同法案では、米国最先端技術を向上させるため、5年間で1,100億ドル(約12兆1千億円)の支出を予算計上するよう求めている。
(注)上院外交委員会:上院の主要な外交政策の立法と論議を担当し、同盟国のための対外援助計画の監督や、資金提供、兵器売却、職業訓練などの任を負う。あらゆる外交職の任命に関する権限を有する。1816年創設で、財政委員会及び司法委員会と並ぶ上院最古の委員会。所属議員は民主党・共和党各々11人(委員長は民主党員)計22人から成る。
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