オーストラリア、中国けん制のためにパプアニューギニアに海軍基地の設置を検討か(2018/09/21)
オーストラリア政府はパプアニューギニアに新たな海軍基地の設置を検討している、と地元紙オーストラリアンが19日に報じた。太平洋諸国への影響力を強める中国をけん制する狙いがあるとみられている。
オーストラリアン紙の報道では、パプアニューギニアのピーター・オニール首相が7月に豪ブリスベーンを訪問した後、豪国防当局者らが、パプアニューギニアのマヌス島にあるロンブラム海軍基地を視察し、同基地の再開発の可能性について検討を行った。マルコム・ターンブル前豪首相がオニール首相と交渉を進めていたという。
そして豪政府は、11月にパプアニューギニアの首都ポートモレスビーで行われるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の前に、マヌス島に共同施設を建設するための合意の成立を目指しているとした。...
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オーストラリアン紙の報道では、パプアニューギニアのピーター・オニール首相が7月に豪ブリスベーンを訪問した後、豪国防当局者らが、パプアニューギニアのマヌス島にあるロンブラム海軍基地を視察し、同基地の再開発の可能性について検討を行った。マルコム・ターンブル前豪首相がオニール首相と交渉を進めていたという。
そして豪政府は、11月にパプアニューギニアの首都ポートモレスビーで行われるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の前に、マヌス島に共同施設を建設するための合意の成立を目指しているとした。
パプアニューギニアは第1次世界大戦後、オーストラリアの委任統治領となったが、1975年に独立国家となった。ロンブラム海軍基地は、同国の独立まではオーストラリア軍が25年にわたり管理・運営を行ってきた施設であり、オーストラリアや米国の軍艦を受け入れるだけの能力もあるという。
スコット・モリソン豪首相は19日、「太平洋は、オーストラリアの戦略的な国家安全保障上の利害の面で、非常に優先度の高い地域である。」として、報道について否定はしなかったが、「しかし、国家安全保障の問題に関する憶測についてコメントすることは適切ではないので、差し控える。」と続けた。
中国政府は、太平洋の島嶼国に対し、数十億ドルの巨額のインフラ融資を行っているが、同地域は、アジアの海域への出入り口として、戦略的に重要だと考えられている。豪政府は、軍事同盟により米政府と太平洋で緊密な協力関係を維持しており、同地域での中国の影響力に対抗する必要性を訴えている。
豪政府は中国の動きに対抗し、今年バヌアツと安全保障条約の締結に向けた交渉を開始することで合意し、ソロモン諸島やパプアニューギニアとの海底通信ケーブルの敷設を行う計画を発表した。今回のパプアニューギニアに海軍基地の設置を検討しているとの報道が出る前には、中国がバヌアツに軍基地建設の可能性について打診したという話があった。
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豪与党連合の支持率、首相交代しても10年ぶりの低水準に下落 野党のリード拡大(2018/08/28)
オーストラリアで27日に公表された最新の世論調査によると、政権を担う自由党と国民党の与党保守連合に対する支持率は33%で、10年ぶりの低水準に落ち込んだことが明らかになった。これに対し野党・労働党の支持率は上昇しており、その差が拡大している。
オーストラリアでは24日、ターンブル首相が自由党の党首交代を求める過半数議員による署名を受領したため、21日に続いて2度目の党首選が実施された。モリソン財務相がダットン前内相とビショップ外相を破ってこれに勝利し、ターンブル氏に代わって第30代首相の座に就いた。同国では10年足らずで6人目の首相が誕生したことになる。
しかしながら、24~26日に実施され、地元紙オーストラリアンに27日に掲載されたニュースポールの世論調査によると、自由党と国民党の与党連合の支持率は33%と、2週間前の前回調査から4ポイント下落し、2008年以来の低水準となった。...
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オーストラリアでは24日、ターンブル首相が自由党の党首交代を求める過半数議員による署名を受領したため、21日に続いて2度目の党首選が実施された。モリソン財務相がダットン前内相とビショップ外相を破ってこれに勝利し、ターンブル氏に代わって第30代首相の座に就いた。同国では10年足らずで6人目の首相が誕生したことになる。
しかしながら、24~26日に実施され、地元紙オーストラリアンに27日に掲載されたニュースポールの世論調査によると、自由党と国民党の与党連合の支持率は33%と、2週間前の前回調査から4ポイント下落し、2008年以来の低水準となった。これに対し野党・労働党の支持率は41%に上昇している。
与党連合は、過去数カ月にわたり、世論調査で労働党を追いかける展開が続いており、与党連合対労働党で見た両者への支持の割合は、前回調査の49対51から44対56となり、労働党がリードを広げた。
また、首相として誰が一番ふさわしいかの質問でも、これまではターンブル前首相の後塵を拝していた労働党のショーテン党首の支持率が39%となり、最も高くなった。モリソン新首相は33%にとどまった。
新政権は「次世代のための政権」を自称するが、調査結果からは、1週間にわたる政治的混乱の影響がまだ続いていることがわかる。モリソン首相は26日、新政権は安定性を保証して組閣されるが、それに加え、直近の出来事による混乱を収拾するために必要な職務を開始すると述べた。先ずは与党内の亀裂を修復し、融和を図ることが重要であり、閣僚らも先週の状況から世論調査の結果はやむなしとして、巻き返しを誓っている。
モリソン首相は、2019年5月までに連邦の総選挙を行う必要があるが、その前に2議席をめぐって補欠選挙を実施しなくてはならないかも知れない。ターンブル氏は、近い将来議員辞職する意向であり、26日に辞任を発表したビショップ外相は、次の選挙に出馬するかは決めていないとしており、同様に議員辞職する可能性もある。
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