同僚にいくら給料をもらっているかを尋ねることは、一般的にタブー視されることが多いが、ドイツの新法は、従業員の報酬に透明性を持たせることにより、女性が男性の同僚より低賃金であることを明らかにし、昇給への要求を高めたり、法廷闘争への道を開いたりすることをその狙いとする。
しかし、適用対象は従業員200人超の企業に限られるため、小規模企業に勤める女性は、依然として異性の同僚の給与を知ることができない。...
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同僚にいくら給料をもらっているかを尋ねることは、一般的にタブー視されることが多いが、ドイツの新法は、従業員の報酬に透明性を持たせることにより、女性が男性の同僚より低賃金であることを明らかにし、昇給への要求を高めたり、法廷闘争への道を開いたりすることをその狙いとする。
しかし、適用対象は従業員200人超の企業に限られるため、小規模企業に勤める女性は、依然として異性の同僚の給与を知ることができない。従業員500人超の企業はさらに、同一労働同一賃金の原則に適合していることを示すため、定期的に給与体系についての最新状況を公表するよう求められている。
新法の支持者らは、同法が良い出発点となり、国中の女性たちが賃金格差の問題に光を当てることができると期待感を示した。一方で内容が複雑過ぎる、職場に反感が醸成されるなどと多くの批判も既に寄せられている。
ドイツは欧州連合(EU)加盟国の中でも、男女間の賃金格差が最も大きい国の1つだ。2016年の格差は21%で、EU平均の16%を上回った。但し、男性と同様の資格を持ち、同様の仕事をしている女性に限れば、男性との格差は約6%に縮まる。
新法で担保される給与の透明性により、従業員は同様の業務をしている少なくとも6人の同僚の給与の中央値を知ることができるが、中央値は平均値から大きく乖離して実態が正確に掴めない場合もあり、意味はないとする専門家もいる。また、上司が賃金の違いの言い訳を探しやすくなるとか、一度仲間より給与が安いとわかると、仕事への満足度が低下するという研究を挙げて、職場での不満が煽られると批判する人もいる。
他の欧州諸国の中にも、最近、長年維持されてきた給与の秘匿性を廃し、同様の措置を取る国が出てきた。昨年、英国は従業員250人超の企業に対し、拒否すれば罰則もあるとして、男女間の賃金格差について、今年4月迄に詳細を公表するよう命じた。アイスランドでは今年、従業員25人超の企業に対し、同一業務に対しては、男女同一賃金を支払っていることを証明するよう求める法律が、世界で初めて施行された。
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