英国の医学誌BMJに15日に公表された研究によると、2014~15年の間、世界の富裕国18カ国では、その大半で平均寿命が短くなっていることが判明した。平均寿命が伸びたのは、日本、オーストラリアなど4カ国のみだった。
同研究論文は、南カリフォルニア大とプリンストン大の研究チームの共著によるものであり、日本、米国、英国、スペイン、スウェーデン、オーストラリアなど、国民の収入が多い世界18カ国の平均寿命について分析したものである。
これによると、2014~15年には過去数十年で初めて、富裕国の多くで平均寿命が男女とも短くなり、この期間を通して男女とも平均寿命が伸びたのは、日本、オーストラリア、デンマーク、ノルウェーの4カ国だけだった。...
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同研究論文は、南カリフォルニア大とプリンストン大の研究チームの共著によるものであり、日本、米国、英国、スペイン、スウェーデン、オーストラリアなど、国民の収入が多い世界18カ国の平均寿命について分析したものである。
これによると、2014~15年には過去数十年で初めて、富裕国の多くで平均寿命が男女とも短くなり、この期間を通して男女とも平均寿命が伸びたのは、日本、オーストラリア、デンマーク、ノルウェーの4カ国だけだった。研究者らは、14カ国での平均寿命の縮小は、「国の数の多さと縮小の度合の両方において顕著である。」と記している。4カ国での伸びについては、確固たる理由は見つからなかったという。
米国以外の国については、平均寿命の縮小は、65歳以上の人々の平均余命が短くなったことが一因とされている。調査対象の時期に、インフルエンザが異常に猛威を振るったため、この年齢層での死亡率が上昇した。さらに研究では、呼吸器系の疾患、循環器系の疾患、アルツハイマー病、その他の精神・神経系障害なども、65歳以上の平均余命を縮める要因であるとしている。大気汚染などの環境問題を抱える国々では、こうした病気による死亡者数の増加がさらに大きな問題となっている。
これに対し米国では、20~30代の若い世代を中心に平均余命が短くなり、全体の平均寿命を押し下げた。研究者らは、オピオイド系鎮痛剤の過剰摂取による中毒との関係を指摘しており、米国の平均寿命は富裕先進国の中で最低レベルとなっていると警告した。
2014~15年に平均寿命が短くなった国々の殆どは、2015~16年には回復傾向を示したが、米国と英国だけがさらに短くなった。社会的な不平等、貧困、受けられる医療サービスの質の低下など、多くの社会的・経済的問題が、悪化の原因と考えられている。
今回の調査の結果、2016年の平均寿命が最も長かった上位3カ国は、女性が日本(87.17歳)、スペイン(85.84)、フランス(85.50)で、男性がスイス(81.63)、オーストラリア(81.49)、日本(81.01)だった。米国は男女とも18カ国中で最下位だった。
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