【あの一言】
戦後70年・広島・長崎・遠のく核兵器廃絶
安全保障担当・津屋尚解説委員 核弾頭の数が減ったと言っても地球上では世界を破滅させるには十分な1万5000発以上の核兵器が存在している。対立が再燃した米国とロシアは各800発以上の核弾頭が即時発射可能で偶発的な核戦争の発生も排除できない。さらに中国や北朝鮮などの核兵器も世界の安全保障にとって大きな不安材料である。日本などから核の傘で守られている現実があるので直ちには核の抑止力を否定できない事情もある。米国・オバマ政権は2011年、当時のメドベージェフ大統領との間で新START条約を締結、戦略核弾頭の配備数を1550発に削減することで合意。しかしロシアがプーチン政権に代わり去年クリミアを併合したことにより両国の対立は決定的となり、その後の核軍縮交渉は全く進んでいない。プーチン大統領はクリミアの併合にあたって核兵器の使用も視野に準備を進めていたことをメディアに語るなど核戦力を誇示するような言動が目立っている。
2015/08/08 NHK総合[時論公論]
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