2024年1月、更新を終了します
(本格化する米朝非公式会合)
北朝鮮当局者と米国元国連大使らによるノルウェー・オスロでの会合で、北朝鮮で拘束されている米国人4人の釈放問題が取り上げられたことが分かった。
米国側から拘束中の4人の釈放問題について政府の意向が伝えられたが、この場での結論は出ず今後米朝の間で調整に入るという。
(北朝鮮はサイバー攻撃を国家主導で)
米国やロシアの情報セキュリティー会社の調査でわかったのは米国の大手セキュリティ会社「シマンテック」は一昨年から今年にかけて北朝鮮のハッカー集団が世界30か国以上の銀行や金融機関などを狙ってサイバー攻撃を仕掛け多額の現金を盗んだ可能性が高いことを明らかにした。
バングラデシュ中央銀行ではマルウエア(有害なソフトウエア)が仕込まれたメールが職員に送られ感染した銀行内のコンピューターシステムを通じて偽の送金依頼が行われた結果、8100万ドル日本円にして90億円以上がフィリピンに送金され、犯行グループがその一部を手にしたと見られている。
(北朝鮮は米国の呼びかけに応じるか?)
ロイター通信は8日、「北朝鮮が核・ミサイルの開発を放棄することを条件」に米国・トランプ政権が、キムジョンウン朝鮮労働党委員長の訪米を招聘し、米朝首脳会談に応じる用意があることを中国政府経由で北朝鮮に伝えていたことがわかったと報じた。「米軍が38度線を越えて北朝鮮に侵攻しない」ことや、「体制転換を求めない」「キムジョンウン政権の崩壊を目指さない」「朝鮮半島の再統一を急がない」など4つのノーを北朝鮮側に保証するものとしている。...
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(北朝鮮は米国の呼びかけに応じるか?)
ロイター通信は8日、「北朝鮮が核・ミサイルの開発を放棄することを条件」に米国・トランプ政権が、キムジョンウン朝鮮労働党委員長の訪米を招聘し、米朝首脳会談に応じる用意があることを中国政府経由で北朝鮮に伝えていたことがわかったと報じた。「米軍が38度線を越えて北朝鮮に侵攻しない」ことや、「体制転換を求めない」「キムジョンウン政権の崩壊を目指さない」「朝鮮半島の再統一を急がない」など4つのノーを北朝鮮側に保証するものとしている。また北朝鮮・崔善姫米州局長らと米国の元国連大使らがノルウェー・オスロで8日から2日間の日程で非公式で接触することも判明している。トランプ政権は軍事的な圧力や中国を通じた外交的圧力を加える一方で、こうした緊張緩和策も打ち出していくことで、北朝鮮に核を放棄させたい意向だ。ただ、北朝鮮にとって核開発は外交カードではなく、核武装する事によって、体制を維持すると憲法にも書いているぐらいで、命同然ものをいう位置づけだ。こうした北朝鮮の核に対する考え方が変わらない限りは、キム委員長が米国の核放棄の呼びかけに応じることはないと思われる。北朝鮮側は米国の呼びかけを無視するか、より過激な非難をメディアを通して打ち出してくることだろう。その対応も韓国に誕生する新大統領との距離感によって異なるものになりそうだ。
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(北朝鮮に融和的な政権が韓国に誕生する可能性)
文在寅候補が新しい韓国の大統領に就任しそうだ。文候補が大統領になることで今後、どのような変化が起きてくるのか。文氏の両親は朝鮮戦争の際、北朝鮮から米軍の船によって戦火を逃れるため巨済島に避難してきた。こうした育ちや文氏のこれまでの言動から読み解くと、北朝鮮とは融和政策をとると見られ、文氏は北朝鮮の核兵器を排除させることもできると話している。しかし、米国や国際社会の目を意識して、当選後はピョンヤンに真っ先に行くことは難しいと思われる。...
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(北朝鮮に融和的な政権が韓国に誕生する可能性)
文在寅候補が新しい韓国の大統領に就任しそうだ。文候補が大統領になることで今後、どのような変化が起きてくるのか。文氏の両親は朝鮮戦争の際、北朝鮮から米軍の船によって戦火を逃れるため巨済島に避難してきた。こうした育ちや文氏のこれまでの言動から読み解くと、北朝鮮とは融和政策をとると見られ、文氏は北朝鮮の核兵器を排除させることもできると話している。しかし、米国や国際社会の目を意識して、当選後はピョンヤンに真っ先に行くことは難しいと思われる。政策としては金大中時代の太陽政策を踏襲し、開城工業団地を再開させ、北朝鮮との融和路線を推し進めそうだ。このため南北関係は相当改善されることになるだろう。THAAD撤去についてはどうか。THAAD撤去を主張し、条件付で容認とも言っている文氏だがTHAADの行方は、トランプ大統領との首脳会談次第だろう。見直しの場合、米国は米韓FTA等で圧力をかけるものとみられる。立ち位置としては米国とは一定の距離を置き、むしろ北朝鮮、中国寄りの政権になると考えられる。さらに日韓合意についてはどうだろう。文氏は日韓合意を見直し、再交渉すると主張している。当然慰安婦問題も反故となる。このため日本政府には厳しい対応が強いられることになる。韓国国内においては朴政権への反動もあり、財閥や大企業に対しては増税し、庶民への税金は減らすなどの弱者救済政策を国内において採用する可能性がある。経済手腕については未知数でありどんなブレーンを政権に入れるかにかかってくるが、国内経済政策を優先させそうだ。
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(北朝鮮包囲網構築する米国)
4日、北朝鮮は「朝中関係のレッドラインを中国が乱暴に越えてきた」「友好関係がいくら大切だとしても命同然の核と引き換えまで懇願しない(労働新聞)」と石油の供給停止をちらつかせる中国を名指しで批判した。北朝鮮が中国を名指しで批判するのは極めて異例なことで、これに対し中国は制裁のレッドラインについて初めて言及し「核実験を行った場合、前例のない厳しい措置をとることになる(環球時報)」と北朝鮮に警告した。...
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(北朝鮮包囲網構築する米国)
4日、北朝鮮は「朝中関係のレッドラインを中国が乱暴に越えてきた」「友好関係がいくら大切だとしても命同然の核と引き換えまで懇願しない(労働新聞)」と石油の供給停止をちらつかせる中国を名指しで批判した。北朝鮮が中国を名指しで批判するのは極めて異例なことで、これに対し中国は制裁のレッドラインについて初めて言及し「核実験を行った場合、前例のない厳しい措置をとることになる(環球時報)」と北朝鮮に警告した。ここへきて蜜月と言われた中朝間の緊張が表面化してきた。その一方で、米国と同盟国は北朝鮮包囲網の構築を加速させている。米国はASEAN加盟10か国に対し、北朝鮮に対する収入源を断ち、北朝鮮との外交関係を見直し、北朝鮮を国連安保理の制裁決議に従わせるよう求めた。北朝鮮との貿易取引国の第3位であるインドは食料品と医薬品を除く北朝鮮への輸出を停止したと発表するなど、米国は北朝鮮包囲網を着々と構築しているかのように見える。だが、こうした動きが無力化しかねない地殻変動が水面下で起きている。
(北朝鮮包囲網・韓国大統領選挙の行方)
9日韓国で大統領選挙が行われるが、このままの流れでいくと北朝鮮に融和的とされているムンジェイン候補が有力であり、そうなった場合には、北朝鮮との対話路線を押し進めることになり、米国主導で導入されたTHAAD配備も見直しされる可能性が出てくる。米国は保守系候補が有利になるように北朝鮮の脅威を明確にしてきたが、韓国の国民は意に介さなかった。北朝鮮と有事になった場合、ソウルは北朝鮮の旧式ともいえる通常兵器による攻撃で火の海となる為、北朝鮮とは対話するしかなかったということが韓国の94年からの教訓として残っている。
(北朝鮮包囲網・中国とロシアも懸念材料)
米国議会下院が制裁強化法案を可決したことについて、中国とロシアが強く反発しているのも気がかりな動きで、中国外務省は「安保理制裁は履行するが、米国の独自制裁には反対する」とのスタンスを示した。ロシアも、「北朝鮮労働者を雇用している外国の企業にも制裁を科す法案は事実上、自分たちを狙ったものにもなる」として強く反発している。韓国の大統領選挙の行方、ロシア、中国の動き次第では、米国が構築した北朝鮮包囲網がどこまで有効になるかわからない。
(日本の今後とるべき道)
6日、アジア開発銀行の年次総会の開会直前に、日中韓の財務大臣中央銀行総裁会議が横浜市で開かれ、北朝鮮情勢を念頭に「地政学的な緊張の増大」に対し、協調して対応することが確認され、共同声明が採択された。またその後、開かれたASEANの財務大臣らを加えた会議では、「保護貿易を含む政策の内向きシフト」を世界経済のリスク要因に挙げ、保護主義の流れが強まる中、ASEAN+日中韓は「多国間の貿易や投資体制を支持する」とし、自由貿易を推進していく立場を示した。
(中国、ロシアのコントロールが今後の鍵)
当面、北朝鮮に対しては経済・金融による圧力を加えていく以外道はない。トランプ大統領によって中国が北朝鮮に対して国連安保理決議を履行させるよう本気になって圧力をかけているようにも見えるが、この先トランプ大統領がどこまで中国、ロシアをコントロールしていけるかが今後の鍵となる。
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