【Globali】
米・中国メディア;米国同盟国の日本による南シナ海監視航行?(2015/11/04)
11月1日にソウルで開かれたに日中首脳会談では、両国の外相の相互訪問などの再開、また、東シナ海のガス田の共同開発に向けた協議の再開を目指すことで一致した。一方、南シナ海における中国の一方的な海洋進出について、安倍首相から懸念が表明されたようだが、歴史認識を巡る問題と同様、その内容を互いに公表しない約束になった模様である。ただ、米同盟国の日本としては、米国が南シナ海で展開しようとしている中国牽制策に理解を示す必要があり、日米両軍初めての南シナ海での共同軍事訓練を行ったことを米メディアが報じ、一方、中国側としては、アジア地域の平和と安定を模索する日中韓首脳会談で、米国側の思惑と違う方向に話が進まぬよう、同首脳会談直前に、南シナ海の中国領海内を違法航行して妨害したと中国メディアが、それぞれ報じている。
10月31日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュースは、「日米が南シナ海で共同軍事訓練」との見出しで、「
『讀賣新聞』によると、日本の海上自衛隊と米海軍は10月28日、南シナ海において共同軍事訓練を開始したという。参加したのは自衛隊の護衛艦“ふゆづき”と米海軍の大型空母“セオドア・ルーズベルト”であるが、同訓練は、ミサイル駆逐艦“ラッセン”が、中国が一方的に埋め立てて築いた人工島の12海里(約22キロメーター“以内を監視航行した翌日のことである。...
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10月31日付
『ザ・ディプロマット』オンラインニュースは、「日米が南シナ海で共同軍事訓練」との見出しで、「
『讀賣新聞』によると、日本の海上自衛隊と米海軍は10月28日、南シナ海において共同軍事訓練を開始したという。参加したのは自衛隊の護衛艦“ふゆづき”と米海軍の大型空母“セオドア・ルーズベルト”であるが、同訓練は、ミサイル駆逐艦“ラッセン”が、中国が一方的に埋め立てて築いた人工島の12海里(約22キロメーター“以内を監視航行した翌日のことである。」とし、「なお、防衛省は、両国の共同軍事訓練は通常予定されたもので、米軍の航行の自由を示すための南シナ海における行動とは関連しないと表明しているが、米国としては、近い将来、海上自衛隊に対して、南シナ海における同行動への参加を望むものとみられる。」と報じた。
一方、11月2日付
『グローバル・タイムズ』紙(人民日報英字版)は、「米海軍、日中韓首脳会談の進捗を妨害」との見出しで、「11月1日に日中韓首脳が一堂に会し、東アジア地域の発展に新たな1ページを記そうとしているとき、米国の望まない方向に話が進まないよう慮ってか、米軍は首脳会談の数日前に、中国が主権範囲内とする南シナ海の諸島の12海里以内を違法航行する暴挙に出ている。9月末に訪米した習主席が、オバマ大統領に対して、南シナ海の中国の海洋活動は主権範囲内のものであるので、米国含めた部外者の干渉を慎むように要請したにも拘らず、オバマ政権はそれを無視した。マレーシア、フィリピン、ベトナムも同海域で岩礁埋め立て工事を実施しているのに、中国が行った諸島のみを敵視するのは、米国のダブル・スタンダード(二重基準)で全く不公平な行為である。」とし、「米国に言われるまでもなく、習主席は今週、ベトナムやシンガポールを歴訪するし、国防部長(国防相に相当)も11月3日、マレーシア国防省高官に会う予定であり、中国がかねてから主張のとおり、対話を通じてアジア地域の平和と安定を構築しようとしている。」と伝えた。
日中首脳会談で裏話として明らかになったことは、何度か触れたとおり、“中国は面子を重んじる国”であることを如実に表す事態があったことである。すなわち、第三国で両国首脳が会談する場合、開催場所で揉めることがままあるが、今回は特に李首相側が全く折れず、同首相滞在のホテルでの開催を強硬に主張したため、後の日程の関係で安倍首相が折れて李首相のホテルを訪問する形となった。中国側に言わせれば、あくまでも中国の格が上であるから、会談を希望する国が訪ねる形を取る必要があるというものである由。この話は念がいっていて、同会談後の日中韓合同晩餐会に向かうに当り、ゲストの安倍首相を玄関から送り出し、ホストである李首相自身は裏口から晩餐会場に向かったとのことである。映画“フーテンの寅さん”のシーンに出てくるような、(大切なのは中味であるはずなのに)中味はともかく“面子へのこだわり”が優先される事態ではなかろうか。
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