中国では北京で抗日戦争勝利70年の記念式典が行われた。そんな中、アメリカのピュー研究所がアジアの国々がお互いをどう見ているのか、それぞれの好感度を調査した。その結果からは今のアジアの関係が浮き彫りになってくる。
9月3日付
『ウオールストリートジャーナル』では、中国が抗日戦争勝利70年の記念式典後、アジアでの同国の軍事活動には警戒感が高まっているものの、中国人自体に対する好感度は高めであると伝えている。これはアメリカに拠点を置くピュー研究所が行った調査結果にもとづくもので、今年4月から5月にかけてアジア太平洋地域の国々(中国、パキスタン、インド、ベトナム、マレーシア、フィリピン、韓国、日本、オーストラリア)の15313名を対象に実施された。自国に対するイメージの調査には、その国の国民の回答は含まれていない。これによれば、統計上で中央値の57%が中国に対して好感を抱いているという。ただ、調査対象である9か国のうち、中国をのぞく6か国では回答者数のうち半数以上が、中国とその周辺諸国との間の領土問題について懸念を抱いているという。中でもフィリピン人の懸念が最も高く91%となっており、それにベトナム人と日本人の83%が続いている。
対象地域の中で最も好感度が高かったのが日本で、中央値の71%を占めていた。2位が中国の57%で、3位インド51%、韓国47%となっている。
ただ、これにより中国の習近平国家主席や安倍総理大臣の国際問題に対する対応が支持されているわけではないという。調査対象者のうち習国会主席の対応は47%、安倍総理大臣の対応は43%となっている。
9月4日付
『Quartz』(アメリカのオンラインビジネスニュースサイト)は、この調査結果から日本と中国の関係を分析している。調査対象国の中で、日本に対する好感度が最も低かったのは中国の12%だったという。日本は中国に対して繰り返し戦時中の日本の行為に対する「お詫び」を表明し続けてきたが、中国はこれを肯定的にとらえてはいないと伝えている。
『ウオールストリートジャーナル』によると、中国の日本に対する意識は世代間で大きく異なる傾向がみられるという。年代が上がるほどに日本に対して否定的であり、50歳以上のうち55%が日本に対し非常に強い嫌悪感を抱いているという。これは第二次世界大戦が影響を及ぼしているためと思われる。
もっともこの2国間にあるのは暗い話ばかりではない。
『Quartz』は、観光には光明が見えると伝えている。日本政府観光局(JUNTO)によると、今年の1月から7月までで日本を訪れた中国人は276万人で、昨年同時期に比して2倍以上の数字だという。事実、抗日戦争勝利年の記念式典の交通規制を逃れ、3日間の休みを利用して日本観光を楽しむ中国人が多いという。
民間レベルでの友好関係の構築に期待したい。
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