議会下院は19日、英国の将来や政治の安定性を求めて、メイ首相が前倒し総選挙を6月8日に実施することを求める動議について、賛成522対反対13と、承認に必要な3分の2を大きく上回る圧倒的多数の賛成によって、これを可決した。
これにより、有権者はEUからの離脱を決めた国民投票から僅か1年で、再度その是非を巡る選挙を迎えることになる。
英国は2年間の離脱のプロセスの初期段階にあり、当初5月末までに開始することが見込まれていたEUとの正式交渉を、総選挙後速やかにスタートさせる。...
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議会下院は19日、英国の将来や政治の安定性を求めて、メイ首相が前倒し総選挙を6月8日に実施することを求める動議について、賛成522対反対13と、承認に必要な3分の2を大きく上回る圧倒的多数の賛成によって、これを可決した。
これにより、有権者はEUからの離脱を決めた国民投票から僅か1年で、再度その是非を巡る選挙を迎えることになる。
英国は2年間の離脱のプロセスの初期段階にあり、当初5月末までに開始することが見込まれていたEUとの正式交渉を、総選挙後速やかにスタートさせる。
メイ首相は早速選挙運動を開始し、北西イングランドのボルトンに赴き、僅か15分足らずの訪問の中で支持者に語った。「下院での決定は国益のため、正しい決断であった。」とし、「英国を”Brexit”以降に正しく導く、力強く安定した保守党のリーダーシップなのか、労働党のコルビン党首の下での混乱した連合なのかは明らかだった。私に英国を導き、国のために語り、戦い、結果を出す力を与えて欲しい。」と述べた。
保守党は前回2015年に行われた総選挙以来、かろうじて議会の多数派を構成していたが、最近行われたある世論調査によれば、保守党48%、労働党24%、自由民主党12%と、最大野党である労働党の倍の支持を集めている。
スコットランド国民党のニコラ・スタージョン党首は、この状況下、スコットランド独立の2度目の住民投票を要求しているが、離脱は「利己的、偏狭で、党利党略」に基づくものだと言っている。自由民主党のティム・ファロン党首は、今回のメイ首相の選挙前倒しは、弱い労働党に対して権力を自らに集中させようとする試みでナンセンスだと評しており、労働党のある議員もメイ首相は一方的に自分の思い通りに”Brexit”(英国のEUからの離脱)を進めている、と批判している。
メイ首相は、昨年6月23日の住民投票において、EU残留を主張して辞任したデビッド・キャメロン前首相の後に首相に選任された。当時の住民投票は離脱52%、残留48%と英国は二分され、傷跡が残った。
メイ首相は保守党内で首相に選出されたので、6月の総選挙は初めて首相として国民の信を問うことになる。もし勝利すれば、2019年まで継続が見込まれる”Brexit”の交渉を推し進め、欧州や世界の他のパートナーとの新しい関係づくりを着実に前進させ、英国をリードしていくことにつき、国民の後押しがもらえる。
メイ首相は、EU離脱の住民投票で英国が負った傷を癒す冷却期間を持ちたいとして、現在の議会の5年の任期が切れる2020年までに総選挙を行うことに対しては否定的であったが、火曜日に突然これを翻し、国中を驚かせた。政治的な安定が得られず、絶えず国内で政争を行う状態が続けば、”Brexit”のプロセスに悪影響を及ぼし、政府の交渉の立場を危うくするとの理由からである。
労働党のコルビン党首は、早期の総選挙を歓迎するが、”Brexit”ばかりを争点にせず、保守党の経済・福祉政策における失敗等にも目を向けるべきである、また選挙日程に関する前言を簡単に翻したメイ氏の首相としての信頼性についても疑問視している、と述べた。
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