北朝鮮問題が中々改善せず、親中政策に舵を切っていたトランプ大統領も、中国側動きに失望感を表している。そうした中、6月22日にワシントンで初開催される「米中外交安全保障対話」閣僚会議では、北朝鮮問題での具体的な協力関係を前進させることが期待されるものの、南シナ海問題については、大きな隔たりが埋まる可能性はない。それを暗示するかのように、日米に歩み寄りを見せたベトナム首脳に不快感を表して、中国軍事担当高官がベトナムを訪問しての領土問題協議を直前にキャンセルしたかと思えば、米比合同軍事演習が、規模を縮小しても予定どおり開催され、中国をイラつかせている。更に、6月13日付Globali「日本、海洋安全保障・装備展示会(MASTA)で東南アジア諸国連合(ASEAN)抱き込み(2)」で報じたとおり、ASEANとの防衛連携強化を狙って防衛省が企画した様々な行事-海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦に搭乗しての南シナ海監視航行や、自衛隊の災害救助訓練の視察-に、ASEAN主要国の防衛関係者が挙って参加している。
6月22日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議をキャンセル」
中国国防部(国防省に相当)は6月20日、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議が、諸事情により中止となったと発表した。
同部は詳細を明らかにしていないが、ベトナム研究専門家の分析では、ベトナムのグエン・スアン・フック首相が、直近の日米訪問で見せた両国への歩み寄りに対して、ベトナム訪問の中国中央軍事委員会の范長龍(ホァン・チャンロン)副主席が怒り、直前に両国間協議をキャンセルしたものとみられるという。...
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6月22日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議をキャンセル」
中国国防部(国防省に相当)は6月20日、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議が、諸事情により中止となったと発表した。
同部は詳細を明らかにしていないが、ベトナム研究専門家の分析では、ベトナムのグエン・スアン・フック首相が、直近の日米訪問で見せた両国への歩み寄りに対して、ベトナム訪問の中国中央軍事委員会の范長龍(ホァン・チャンロン)副主席が怒り、直前に両国間協議をキャンセルしたものとみられるという。
更に、同専門家は、ベトナム国営企業ペトロ・ベトナムが米石油大手エクソン・モービルと、南シナ海において“ブルー・ホエール・プロジェクト”と称する天然ガス共同探査事業に着手したことにも不快感を表しているともみている。すなわち、両社が対象とした掘削リグは、南シナ海の西沙(パラセル)諸島近海にあるため、中国の南シナ海戦略(同海域の大部分を中国主権範囲と主張)にとって“大きな打撃となる先例”となると考えられるからである。
6月20日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「フィリピン・ドゥテルテ政権下で初の米比合同軍事演習」
米比両軍は6月19日、反米的なロドリゴ・ドゥテルテ大統領就任後初めて、合同海上軍事演習を開始した。ただ、同大統領が、米国同盟国としての伝統より、中国やロシアとの連携強化に努めると公言してきていることから、同軍事演習規模はかなり縮小されている。
フィリピンは1995年、ASEANの他7ヵ国とともに、“協力海上即応訓練(CARAT)”協定を米国と結んで以降、合同海上軍事演習を継続してきたが、同大統領就任後、この継続が危ぶまれていた。
6月19日付フィリピン
『GMAニュース・オンライン』:「ASEAN高官、日本の軍艦に搭乗して南シナ海航行に同行」
日本の防衛省の6月19日発表によると、ASEAN高官が同日、シンガポール停泊中のヘリコプター搭載護衛艦“いずも”に搭乗して、4日間の南シナ海監視航行に同行することになったという。更に、来日中のASEAN防衛関係者が6月20日、自衛隊による3日間の災害救助訓練を視察する予定であるという。
安倍政権はかねて、中国の海洋進出に懸念を表明しており、この一環で、南シナ海問題に関わるASEAN諸国との防衛連携強化を狙ったものと考えられる。
なお、日本政府は先週、MASTA出席のタイ・ベトナム・フィリピン・インドネシア・マレーシア・シンガポール防衛関係者を招いて、防衛セミナーを開催している。
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