2001年に発生した9.11米同時多発テロから既に16年以上が経過したが、今般、旅客機が突入したニューヨークのワールドトレードセンター(WTC)の不動産開発業者が、アメリカン・ユナイテッド両航空会社等を訴えていた訴訟で、被告側が9,520万ドル(約106億円)を支払って和解することで合意が成立した。
訴訟が提起されていたニューヨーク市マンハッタンの連邦裁判所に21日に提出された和解文書によれば、両航空会社等の保険会社が、ラリー・シルヴァースタイン氏が所有する不動産開発会社に賠償金を支払うという。
シルヴァースタイン氏は、長い期間に及ぶ交渉の上、既に他の被告とは、その保険会社から50億ドル(約5,600億円)以上の賠償金を受け取って和解しているとされており、和解金はWTCの再建のための資金などに使われている。...
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訴訟が提起されていたニューヨーク市マンハッタンの連邦裁判所に21日に提出された和解文書によれば、両航空会社等の保険会社が、ラリー・シルヴァースタイン氏が所有する不動産開発会社に賠償金を支払うという。
シルヴァースタイン氏は、長い期間に及ぶ交渉の上、既に他の被告とは、その保険会社から50億ドル(約5,600億円)以上の賠償金を受け取って和解しているとされており、和解金はWTCの再建のための資金などに使われている。
しかし同氏は、ハイジャックされた航空機によるWTC北棟・南棟のツインタワー崩落を防止できなかったアメリカン・ユナイテッド両社等の過失により、テロの6週間前、99年間の期間でリースしたWTCが失われたと主張し、さらに損害賠償を求めて争っていた。
同氏は当初は、両航空会社と空港セキュリティ会社などに対し、123億ドル(約1兆3,800億円)の賠償を求めていた。今回合意に至ったが、これについては、同時多発テロ関連の多くの民事訴訟を担当してきた連邦裁判所判事による承認が必要だ。
訴訟の係争期間も13年にわたったが、原被告双方の弁護士団は和解文書の提出にあたり、この和解が承認されれば、全て幕が閉じられると説明している。アメリカン航空の広報は、和解に至ったことは喜ばしいとしつつも、「あのひどい日と、アメリカン航空関連の23名を失った悲劇など、その後の影響を忘れることはない。」とコメントした。
同時多発テロ事件では、両航空会社の旅客機4機が、国際テロ組織アルカイダに忠誠を誓う実行犯らにハイジャックされ、2機がWTCに、1機がワシントン近郊のバージニア州アーリントンにある国防総省に突入し、もう1機はペンシルベニア州ピッツバーグ郊外に墜落した。これにより約3,000人の命が失われたが、日本人も24人犠牲となっている。WTCには当時日系の銀行・企業やレストランも入居しており、また観光名所でもあったため、ビルを利用したり、訪問したりする日本人ビジネスマンや観光客を多く見かけた。
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