【Globali】
英国、EU離脱後も高い食品安全基準を維持できるのか(2017/12/18)
英国はこれまでEU加盟国として、高い食品安全基準のもとでEU域内での貿易の恩恵を被ってきた。しかし、EU離脱に伴い、EUだけでなく米国などEU域外の国々と新たに独自で貿易交渉を行う必要が出てきている。そんな中、農畜産物に関する米国との貿易協定に対する懸念の声が上がっている。特に、クリスマスの食卓に上がる鶏についてメディアが取り上げている。
シティ(ロンドン)大学の専門家によれば、英国は、国家食料備蓄をわずか3~5日分しか持っておらず、国内で消費されている食料のうち、約54パーセントはイギリス産だが、約31パーセントはEUから輸入している。果物の自給率は約15パーセント、野菜は約55パーセントで、輸入依存度が高く、農畜産物も、牛肉および豚肉については、それぞれ消費量の20%以上をEU域内から輸入している。そのため、EU離脱交渉の結果次第によっては、EU加盟国から十分に食品を輸入出来なくなり、代わりに米国からの輸入を進める必要が出てくる可能性がある。...
全部読む
シティ(ロンドン)大学の専門家によれば、英国は、国家食料備蓄をわずか3~5日分しか持っておらず、国内で消費されている食料のうち、約54パーセントはイギリス産だが、約31パーセントはEUから輸入している。果物の自給率は約15パーセント、野菜は約55パーセントで、輸入依存度が高く、農畜産物も、牛肉および豚肉については、それぞれ消費量の20%以上をEU域内から輸入している。そのため、EU離脱交渉の結果次第によっては、EU加盟国から十分に食品を輸入出来なくなり、代わりに米国からの輸入を進める必要が出てくる可能性がある。
しかし、これに対し食料専門家達は、米国との貿易協定を締結するにあたり、英国の高い食品安全基準が撤廃され、国内消費者達は、米国からの「汚染された」食品を消費することになるのではないかと懸念の声を上げている。
鶏に関して、食料政策の専門家達が、英国とEUの食品基準を米国の基準と比較したところ、米国では、塩素などEUの安全基準を満たさない消毒剤を最大4種類まで、と畜場や食肉処理場で使用されていることが分かった。また、それら消毒剤が野菜や魚の洗浄にも使用されていることに、専門家達は驚いている。
専門家たちは、鶏に限らず、英国が米国からの圧力に妥協することなく、これまでどおりの食糧生産に関する基準を維持し、輸入時の管理体制を緩めるのではなく、より厳格化することで、消費者達は安全で、健康に良く、栄養価の高い食品を買うことができる、と述べている。
閉じる
その他の最新記事