2012年に設立された大学短期大学フードバンク連盟(College and University Food Bank Alliance)には570を超える大学食料庫が登録されている。連盟は食料庫やその他の飢えに関するプログラムを支援している。
ウィスコンシン大学の研究所が今月発表した報告書によれば、20州で調査された二年制もしくは四年制の大学に通う43,000人の学生のうち、36%が食べるのに苦労しており、貧困を克服するうえで重要な学業的成功が脅かされている。...
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2012年に設立された大学短期大学フードバンク連盟(College and University Food Bank Alliance)には570を超える大学食料庫が登録されている。連盟は食料庫やその他の飢えに関するプログラムを支援している。
ウィスコンシン大学の研究所が今月発表した報告書によれば、20州で調査された二年制もしくは四年制の大学に通う43,000人の学生のうち、36%が食べるのに苦労しており、貧困を克服するうえで重要な学業的成功が脅かされている。短期大学の学生だけをみると、42%が栄養バランスのとれた食事の確保に苦労していた。
カレッジデータ・ドット・コムによると、州立の四年制大学の場合、学費、学用品、下宿費用、個人的支出や交通費にかかる年間費用の米国平均は約25,000ドルである。
テンプル大学の社会学者であり、ウィスコンシン大学HOPE研究所*の創立者でもあるサラ・ゴールドリック・ラブ氏は、「食料難の学生は他の学生と同じくらい学校や宿題に時間を費やしているが、アルバイトを長時間し睡眠時間は短い。」と言う。カリフォルニア大学といった有名校でも状況は変わらず、LGBTの学生や白人以外の学生はより食料難の危機にさらされている。研究は、そのような学生の成績や卒業率がより低いことを示した。
裕福な家庭の若い学生が学生時代にラーメンをがつがつ食べることは、しばしばユーモアのある通過儀礼とみなされる。しかし、一般的な大学生像は変化しており、多くにとって飢えは深刻な現実である、とゴールドリック・ラブ氏は述べる。
食料不安は、高騰する学費、停滞した家計所得、パートタイム労働者の貧しい労働市場、そして政府が生活保護受給者に発行する食料配給券にアクセスできない雇用要件が関連している、とゴールドリック・ラブ氏は述べた。
「典型的な食料難の学生像はない。どんなタイプの学生でもあり得る」と、大学短期大学フードバンク連盟の共同設立者であるテンプル大学職員、クレア・キャディ氏は述べる。
食料庫は、通常ボランティアの学生や教員が運営し、食料や金銭の寄付によって支えられているため、大学にとってはほとんど費用がかからない。
米国初の大学フードバンクは、1993年に開始されたミシガン州立大学のものであった。食料を地方のフードバンクから購入し、年間4000人以上の学生とその家族に配布している。
カリフォルニア州では、2017年に民主党のジェリー・ブラウン州知事が、食料庫のみならず、公的給付プログラムへのアクセスなどの他のアプローチについても学生を支援する目的で、750万ドルを割り当てる法律に署名した。ニューヨークでは今春開始した取組みにより、ニューヨーク州立大学システムにある64の機関すべてに食料庫を設置することを義務付ける最初の州となった。約70%の機関が既に食料庫を有していた。
シェネクタディ・カウンティ短期大学では、収入にかかわらず、学生は月に3回まで食料庫を訪ねて、缶詰の豆、ツナ、スパゲッティソースやパスタなど3日間分の食品を持ち帰ることができる。学生でありながら食費を稼ぐことは難しいため、非常に助かるとの声が多い。
「低所得で家庭を持ったり独身でも苦労したりしている学生がたくさんいる」と食料庫のコーディネーターを務める大学カウンセラー、ロビン・キング氏は話した。「食料配給券を受給する者もいるが、その資格を満たすには収入を若干越えてしまう者もいる。我々はそのギャップを埋めようとしている。」
ロチェスター市にあるモンロー・コミュニティ・カレッジは、より長期的な解決策を提供する。食品ワゴンで、ラベルを付した無料のグラノーラバーに生徒に配布してる。ラベルには食料庫の案内と、食料配給券、住居、育児などの公的給付申請を支援するシングル・ストップの案内が記されている。アン・クレス学長は「今日の典型的な学生は、子育てや介護など他の責任も負い、年齢も上だ。多くは、経済的安定と不安定との狭間にいる。経済的安定をもたらすのは大学の学位なのである。」と説明した。
*HOPE:Harvesting Opportunities for Postsecondary Education 中等後教育における公平な教育機会を目指して研究や提言を行っている。
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